2016 年 4 巻 2 号 p. 181-189
ワクチン接種は腎移植レシピエントにとって重要である。実際,腎移植レシピエントに推奨される各種ワクチンに関して複数の文献に詳細が述べられている。しかし,忙しい臨床の現場でワクチン接種が不十分となってしまった状況に心当たりはないだろうか。それをどの程度の問題と考えたであろうか。確かにワクチンには各疾患を予防するという意義がある。しかし移植医が考えるワクチン接種の意義は,それら各疾患の予防だけではない。そのさらに先にある。理解すべきは感染症と腎機能障害,心血管疾患との深い関連性である。つまり,ワクチン接種により感染症を予防することが長期的な移植腎機能の保持,心血管疾患の予防,そして最終的にはレシピエントの予後改善につながると考えられる。今回提示する症例を通してワクチン接種の意義を再度理解することで,不十分になることのない確実なワクチン接種につなげたい。