2016 年 4 巻 2 号 p. 232-234
【緒言】腎移植周術期,体液管理を綿密に行っているにもかかわらず肺うっ血・心不全をきたすことを時に経験する。われわれは左室拡張障害の有無による術後経過の違いを後ろ向きに検討した。【方法】当科で2010年1月から2015年8月までに行った腎移植23例を対象とし,心エコーでのE/e’(拡張早期左室流入速度/拡張早期僧帽弁輪移動速度)値を用いて周術期経過を比較した。【結果】非障害群(E/e’<8),境界群(8≦E/e’≦13),障害群(E/e’>13)はそれぞれ5,14,4例。術後2日目の体重増加(術前比)は5.3%,8.0%,3.0%で有意差は認めず。術後2日目の胸部X線検査で2例(40%),5例(36%),4例(100%)に胸水を認めた。さらに障害群のうち2例は臨床的に心不全と思われる肺うっ血を認めた。【結語】腎移植の周術期管理では左室拡張障害を把握し,補液負荷に留意することが重要と思われた。