2016 年 4 巻 2 号 p. 247-250
38歳男性,妻をドナーとした生体腎移植の術前精査でX連鎖型Alport症候群による末期腎不全と診断した。14歳の長女もX連鎖型Alport症候群ヘテロ接合体保因者の可能性が高いと考えられた。今回,妻をドナーとして生体腎移植を行うと,長女が将来的に末期腎不全を発症した場合,妻からの腎提供が不可能になることが懸念されたため,遺伝カウンセリングを行ってから生体腎移植を行った。今回の移植とは医学的に直接関係のない長女に対しても遺伝子診断による診断,情報提供を行う方針となった。遺伝性腎疾患を原疾患とする患者に生体腎移植を行う際は,腎提供後に血縁者に生じうる不利益へも配慮が必要であり,必要に応じ遺伝カウンセリングも行った上で生体腎移植を進めていくことが重要である。