日本CT技術学会雑誌
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テクニカルノート
超解像Deep Learning Reconstruction を用いた冠動脈ステント描出能の評価
酒向 健二吉田 朱里原 孝則
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2023 年 11 巻 1 号 p. 5-

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抄録

重要な要点

・Precise IQ engine (PIQE)は他の再構成法と比較して空間分解能が高い

・PIQE はステントのブルーミングアーチファクト,パーシャルボリューム効果を抑える

・PIQE は冠動脈ステントにおいてアンダーシュートを生じない


要旨

[目的] Precise IQ engine (PIQE)が従来の再構成法と比較して,空間分解能,ステント描出能が向上しているか検討を行い,その有用性を明らかにすること.

[方法]空間分解能の評価はTOS ファントムを用いて行った.テフロンとデルリンのロッドにて円形エッジ法を用いて,filtered back projection (FBP), adaptive iterative dose reduction 3D (AIDR 3D), forward projected model-based iterative reconstruction solution (FIRST),advanced intelligent clear-IQ engine (AiCE),及びPIQE のTTF を測定した.ステント描出能は水中に配置した2 種類のステントを撮影し,ステントプロファイルカーブよりステント(ストラット部)と内腔のFWHM,更に内腔直径の真値から直径の誤差率を求め評価した.

[結果]TTF は2 種類のロッドとも,ほぼすべての周波数においてPIQE が優れており,10%TTF はPIQE が最も高かった.PIQE はプロファイルカーブのステント部分のCT 値が最も高くなり,ステントFWHM は最も小さく,内腔FWHM は最も大きく真値からの誤差率は最小となった.

[結語] PIQE は空間分解能が向上し,ステント内腔の描出は従来の再構成法と比較して優れている.

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