日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
Print ISSN : 2434-2769
11 巻, 1 号
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テクニカルノート
  • 次木 嵩人, 吉川 健太, 蝶野 大樹, 今井 達也, 早坂 駿, 越後 雷蔵, 笠原 瞭, 石橋 築, 原田 耕平
    原稿種別: テクニカルノート
    2023 年11 巻1 号 p. 1-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/02/22
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    1) 回転時間を変化させた場合にOEM が追随可能であるかを評価した.

    2) 回転時間が高速になるほど出力低下期と出力増加期の回転角度が変化,さらに回転角度差が増加して左右対称性が崩れた.また,出力低下期が拡大し,出力増加期が縮小する傾向が見られた.

    3) 回転時間が高速になるほど線量率プロファイル曲線の左右対称性が崩れ,OEM が追随困難になる可能性がある.


    要旨

    Organ effective modulation(OEM)は体前面の線量低減を可能にする管電流変調機能である.しかし,X 線管球が1回転する際,体前面の出力を選択的に低減させるため急峻な管電流変調が求められ,回転時間によって管電流変調機能に影響を及ぼす可能性がある.本研究では,回転時間を変化させた場合にOEM が追随可能であるかを評価した.回転時間は1000,750,500,350,275 ms/rotation の5 種類とした.Piranha CT Dose Profiler を円柱ファントムの中心孔に挿入し,OEM の線量率プロファイル曲線を取得した.OEM により線量率が低下する時間(出力低下期+出力増加期),最高線量率から最低線量率になるまでの時間(出力低下期),最低線量率から線量率が元に戻るまでの時間(出力増加期)を求め,出力低下期と出力増加期の回転角度差(°)から左右対称性を評価した.回転時間1000,750,500,350,275 ms/rotation における出力低下期と出力増加期の回転角度差(°)は,それぞれ3.0°,6.1°,9.0°,12.1°,17.1°であり,最大14.1°の左右差を認めた.回転時間が速くなるほど線量率プロファイル曲線の左右対称性が崩れ,OEM は追随困難になる可能性がある.

  • 酒向 健二, 吉田 朱里, 原 孝則
    原稿種別: テクニカルノート
    2023 年11 巻1 号 p. 5-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/03/10
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・Precise IQ engine (PIQE)は他の再構成法と比較して空間分解能が高い

    ・PIQE はステントのブルーミングアーチファクト,パーシャルボリューム効果を抑える

    ・PIQE は冠動脈ステントにおいてアンダーシュートを生じない


    要旨

    [目的] Precise IQ engine (PIQE)が従来の再構成法と比較して,空間分解能,ステント描出能が向上しているか検討を行い,その有用性を明らかにすること.

    [方法]空間分解能の評価はTOS ファントムを用いて行った.テフロンとデルリンのロッドにて円形エッジ法を用いて,filtered back projection (FBP), adaptive iterative dose reduction 3D (AIDR 3D), forward projected model-based iterative reconstruction solution (FIRST),advanced intelligent clear-IQ engine (AiCE),及びPIQE のTTF を測定した.ステント描出能は水中に配置した2 種類のステントを撮影し,ステントプロファイルカーブよりステント(ストラット部)と内腔のFWHM,更に内腔直径の真値から直径の誤差率を求め評価した.

    [結果]TTF は2 種類のロッドとも,ほぼすべての周波数においてPIQE が優れており,10%TTF はPIQE が最も高かった.PIQE はプロファイルカーブのステント部分のCT 値が最も高くなり,ステントFWHM は最も小さく,内腔FWHM は最も大きく真値からの誤差率は最小となった.

    [結語] PIQE は空間分解能が向上し,ステント内腔の描出は従来の再構成法と比較して優れている.

  • 丹羽 伸次, 原 孝則, 西丸 英治, 瓜倉 厚志
    原稿種別: テクニカルノート
    2023 年11 巻1 号 p. 10-
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/05/01
    ジャーナル フリー

    重要な要点

    ・十分に大きいスラブ厚のMPR 画像を用いることで,等価SSP による公正かつ簡便なSPF の比較評価が可能である.

    ・等価SSP を取得するための必要十分なスラブ厚は,30 mm である.

    ・等価SSP によるSPF の評価において,ゼロ周波数付近におけるFBP とIR との差は減少する.


    要旨

    【目的】本研究の目的は,十分に大きいスラブ厚のmulti-planar reconstruction (MPR) 画像を用い評価対象画像間のslice sensitivity profiles (SSP) を等価にすることで,公正な比較を可能とする簡便な手法を提案し,iterative reconstruction (IR) 画像の評価を行うことであった.

    【方法】CT 装置を用いて,コインファントムを撮影し,設定スライス厚0.6,2.0 及び3.0 mm の画像を再構成した.それぞれのデータからスラブ厚10 から40 mm のaxial のMPR 画像を作成した.MPR 画像におけるSSP から体軸方向のmodulation transfer function (MTF) を算出し,等価SSP となる必要十分なMPR 画像のスラブ厚を検討した.更にfiltered back projection (FBP) 画像とIR 画像間のsystem performance function (SPF) を提案法と従来法で比較した.

    【結果】各スライス厚間の体軸方向のMTF 差は,MPR 画像のスラブ厚を大きくすることで小さくなり,30 mm のスラブ厚でMTF 曲線は一致した.FBP 画像とIR 画像間のSPF の比較において,従来法は全空間周波数帯においてIR 画像が高いSPF を示したが,提案法はゼロ周波数付近における両者の差が減少した.

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