日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
Print ISSN : 2434-2769
原著
新生児CT検査における逐次近似応用再構成法のdisplay field of view依存性
南島 一也杉澤 浩一木津 啓介益田 翔太大脇 由樹陣崎 雅弘
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2019 年 7 巻 2 号 p. 1-

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抄録

重要な要点

1) HIRは非線形挙動である.

2) 新生児ではHIRのdisplay field of view依存性が影響し,成人ほどの線量低減効果は得られない.

3) HIRの使用により成人では50%,新生児では37.5% 線量低減が可能であった.

要旨

[目的]

本研究の目的は,hybrid iterative reconstruction (HIR) のdisplay field of view (DFOV) 依存に着目し,GALACTICの撮影条件に準拠した成人と新生児のcomputed tomography (CT) 検査を対象として,HIRによる線量低減率の違いを明らかにすることである.

[方法]

成人および新生児ファントムを撮影し,それぞれstandard deviation が10となる画像を基準画像とした.また,基準画像に対して撮影線量を低減し,HIRで再構成した画像を低線量画像とした.各画像にて,noise power spectrum (NPS),task transfer function (TTF) およびシステム性能関数 (system performance: SP) を測定し,HIRにより低減可能な線量を導出した.

[結果]

NPS解析より,同一線量低減率下の比較において新生児では成人と比較して2.0倍程度ノイズ量が増加した.また,低線量画像のNPSのピーク周波数は基準画像と比較して低周波数側へシフトしたが,そのシフトの程度は新生児では成人よりも減少した.TTF解析より,低線量画像の10%TTFは基準画像と比較して低下したが,その低下の程度は新生児では成人よりも減少した.SP解析より,成人では50%,新生児では37.5%の線量低減が可能であった.新生児CTにおけるHIRの使用では,DFOV依存を考慮した撮影プロトコルの設定が必要である.

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