日本CT技術学会雑誌
Online ISSN : 2434-2750
Print ISSN : 2434-2769
原著
256列multidetector computed tomographyにおける収集モードの違いによる 画質特性への線量依存性評価
菅谷 正範村木 厳太郎秀永 慎一
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2020 年 8 巻 1 号 p. 19-

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抄録

重要な要点

1) 撮影時の収集モードが異なる場合は同一名称の再構成関数においても画質特性が変化する.

2) 256列MDCTのhigh resolution収集はFBPにおいても低線量時に非線形処理により解像特性が変化する.

3) 低線量時のhigh resolution収集は解像特性を維持できないため,撮影目的を考慮し収集モードの使い分けが必要である.

要旨

[目的]

 256列multidetector computed tomography (MDCT)の収集モードの違いによるfiltered back projection (FBP)画像における線量低減時の非線形挙動が画質特性へ及ぼす影響を評価することである.

[方法]

 コントラスト差50 Hounsfield unit (HU)と260HUのファントムを作成した.収集モードはnormal収集とhigh resolution (HR) 収集とし,撮影線量は1.41から15.49mGyと変化させた.得られた画像よりtask transfer function (TTF)を算出した.また, 均一ファントムを用いnoise power spectrum (NPS)とstandard deviation (SD)を計測した. さらに異なるシステム構成の固有性能を比較するためTTFとNPSよりsystem performance (SP)を求めた.

[結果]

 TTFはnormal収集では変化しないが,HR収集では線量低下に伴い低下し最大で26%低下した.この挙動に関するコントラスト依存性はほぼなかった.NPSはHR収集で線量低下に伴いノイズの抑制やピーク周波数が低周波数側へシフトした.SDは約5.00 mGy以下からnormal収集と比較しHR収集で低下した.SPは低線量域で差が開き, 最低周波数において同線量のnormal収集と比較しHR収集で最大26%増加した.

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