2019 年 3 巻 2 号 p. 139-142
動的映像資料は現在のところ多くの場合、上演・配信という形態をもって活用されているように思われる。だが動的映像にはまだ他種研究資料に劣らないポテンシャルを有していないだろうか。その可能性の一端を40年前に標準的な8mmフィルムカメラによって記録された映像を再資料化する試みを通じて探る。するとそこには記録された対象としてばかりでなく、同時的にはフレーム外の、継時的にはショット間の情報を導出するメルクマールとしての対象が見いだせる。本発表では映像撮影者の記憶や記録、未整理のまま埋もれている資料に、ショット内・ショット間分析を通じて漸次的近づくための提案を行う。それは動的映像を静的映像資料化+文字資料化することで再資料化する試みである。