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澤谷 晃子
2019 年 3 巻 2 号 p.
87-90
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
大阪市立図書館は、2017年3月2日にデジタルアーカイブ画像の一部をオープンデータとして提供を開始した。日本の公共図書館では初の試みであり、新聞等に取り上げられるなどの反響があった。オープンデータ化開始後も、資料展示、画像の人気投票、オープンデータ画像検索・加工講座の開催などの取り組みを、継続して実施している。また、図書館利用者以外の方で当館オープンデータに興味がありそうな方にも情報発信することで活用の可能性の幅が広がってきた。当館のオープンデータ提供開始以降の利活用に向けた取組を紹介し、今後の展望についても述べる。
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伊藤 敦規
2019 年 3 巻 2 号 p.
91-94
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
国立民族学博物館は現在、フォーラム型情報ミュージアムというプロジェクトを進めている。世界各地の博物館、ソースコミュニティの人々(資料の制作者、使用者、その子孫)、そして民博が国際協働研究という枠組みにおいてチームを組み、収蔵する民族誌資料の高度情報化と、博物館から遠く離れた地に暮らすソースコミュニティによる資料データへのアクセスと利用を簡便化させる協働環境を整備する、学術的かつ実践的な試みである。本発表ではこのプロジェクトを進めることで明らかになった民族誌資料のデジタルアーカイブ化にかかる諸問題を検討するとともに、ソースコミュニティの人々や連携機関との意見交換を経て採用した対応を例示する。
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後藤 真, 近藤 無滴
2019 年 3 巻 2 号 p.
95-98
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
報告者らは以前、京都市内に点在する「お地蔵さん」を調査対象として、フィールドワークによる聞き取りを行った。また、調査結果をもとに分布図の作成、世帯数や人口との比較によってデータを分析した。結果、過去の研究で述べられてきた世帯数や人口といった、維持管理の担い手がいなくなることは「お地蔵さん」の有無、数に影響を及ぼさないことがわかった。そして、都市化による建て替えや道路の拡張などが原因であることを、以前に述べた。しかし、その後の時間経過による変化は追いかけていなかった。そこで、再調査を行い、時間経過による「お地蔵さん」の移動について検証した。
文化財や資料をデータ化、アーカイブ化することで、保全に向けた取り組みがより容易となる。本発表では、自然災害や盗難被害等の文化財防災において、デジタルアーカイブの重要性について述べる。
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高田 祐一, 昌子 喜信, 矢田 貴史
2019 年 3 巻 2 号 p.
99-102
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
文化財調査の現場においては、デジタル技術が浸透しつつある。デジタル機器によるデータ取得時の必要精度やファイル形式など、デジタルならではの留意すべき点がある。一方、デジタル技術の活用によって文化財に関する情報発信という点においては、広く周知するということが可能となった。特に発行部数に限りがあることから、閲覧環境の確保に課題のあった発掘調査報告書について、電子公開する事業が全国展開され、活発な利用がなされている。これらの動向に対応するため、文化庁はデジタル技術活用について、『埋蔵文化財保護行政におけるデジタル技術の導入について』にて対応指針を報告している。本稿では、行政における文化財情報の電子化と発信という点において、近年の動向を整理したうえで、課題と見通しを考察する。
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中川 源洋, 笹垣 信明
2019 年 3 巻 2 号 p.
103-106
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
無形の民俗芸能の保存は、そのままの形で保存させることが困難であるため、映像記録が広く用いられている。しかしながら目的ごとに求められる映像コンテンツが異なるため、予算や撮影条件が限られている場合は目的が限定され、必ずしも有効に活用されないことがあった。そこで様々な目的に適用が可能な記録を得るために、数台の測距カメラを組み合わせて民俗芸能を3次元(3D)的に記録・データ化する技術を開発した。本技術を郷土芸能保存会のような団体自身により、公演や練習の様子をデータ化/アーカイブ化していくこと想定している。取得データは演技空間そのものを記録しているので、目的に合わせた形態への加工が可能となる。例えば再生視点を自由に選べることから、行事全体を理解するための広角の映像、演者の動きや部位に注視した映像、更には広報用の極端なアングルやクローズアップ映像などに再構成させることができる。また取得した3Dデータを解析し、熟達者と初心者間の動きを定量的に比較し継承支援につなげたり、取得データを利用した芸能体験アプリなどによる観光目的への展開なども可能となる。
本稿では岩手県で継承されている鹿踊りや神楽の3Dデータ化実験と、取得データを活用した訪日外国人向け芸能体験アプリの実験の結果を報告する。
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千葉 毅, 武田 周一郎
2019 年 3 巻 2 号 p.
107-110
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本報告では、地域の博物館における、いわゆる博物館資料以外のデジタルアーカイブのささやかな実践事例について、その過程や方法、課題を紹介する。
2017年、神奈川県立歴史博物館は、その前身である神奈川県立博物館の開館から50年を迎えた。これを記念し実施したプロジェクトの一つが「みんなの神奈川県博アーカイブ」である。このプロジェクトでは、当館にまつわる思い出を募集、思い出投稿者の位置をGoogleマップにプロットし「思い出分布図」として公開した。「思い出募集」企画は世の中に多くみられるが、集まった思い出を「分布図」として示した例はこれまでにあまりないだろう。
「思い出の広がり」が可視化されることは、特定の位置に縛られた博物館が持つ可能性の再評価につながる。また当館のような自治体の設置する地域博物館にあっては、つい各自の自治体範囲で活動の枠組みを考えがちであるが、より広い視野での活動を内省的に促す視点につながるものともいえよう。
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鈴木 伸和
2019 年 3 巻 2 号 p.
111-114
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
アフリカ南東部の内陸に位置するマラウイ共和国で、2016年より視聴覚資料保存とデジタルアーカイブのプロジェクトを開始した。運営しているのはマラウイ国立公文書館、レイ・ファンデーション、株式会社東京光音の3者である。このプロジェクトの目的は、現地のアーキビストなどと協働し、マラウイ国立公文書館が所蔵している視聴覚資料を検査、保存、デジタル化することにより、国内外で視聴や利活用ができる環境を整備することである。しかし、サブサハラアフリカで最貧国の一つでもあるマラウイ共和国は慢性的な電力不足にあり、デジタルアーカイブの構築とその利活用にも影響を及ぼしている。プロジェクトの進捗状況を報告し、マラウイ共和国でどのようなデジタルアーカイブが可能か考察する。
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平野 桃子, 柳与 志夫, 東 由美子, 数藤 雅彦
2019 年 3 巻 2 号 p.
115-118
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
紙でのみ発行されていた過去の新聞記事のデジタル化とその活用策を検討することを目的に、2017年に地方紙デジタル化の状況を把握するためのアンケート調査を行なった。
本発表では、上記の調査結果から浮き彫りになった課題・問題点を、(1)法制度的・倫理的、(2)社会的、(3)技術的、(4)経済的・制度的課題の4項目に整理し、各項目について、過去及び現在のデジタル化記事を今後活用していくための課題抽出を行なった。
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三浦 伸也, 鈴木 比奈子, 堀田 弥生, 臼田 裕一郎
2019 年 3 巻 2 号 p.
119-122
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
2018年は、大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号、北海道胆振東部地震等の災害が頻発した。災害発生後、少し落ち着いた時期になると、災害資料を収集し、災害の記録、地域の記録として後世に残すことを考える被災地の図書館等では、災害(資料)をアーカイブしようとするが、ほとんどの図書館にとって、災害資料のアーカイブは初めての経験である。そのため、どのような資料を収集し、どのように整理するのかといった災害資料の収集・整備について1から学び、実践することになる。本発表は、これまでに被災地図書館や国会図書館、研究機関などに蓄積された災害資料の収集・整備・発信のノウハウを共有し、被災地の図書館が発災後最低限やっておくとよりよい災害のアーカイブになるための取り組み(準備)を、アーカイブ経験のある図書館や研究機関が共同で提案することを提案するものである。
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西川 開
2019 年 3 巻 2 号 p.
123-126
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本発表ではデジタルアーカイブの制度分析の方法論として「知識コモンズ(Knowledge Commons)」研究と呼ばれる領域で系統化されている方法を用いることを提案する。知識コモンズ研究は、自然資源の管理制度に関する研究領域である「コモンズ」研究から派生した領域であり、「知識」(文化情報資源に相当する概念)のガバナンス・メカニズムを実証的・帰納的な方法で明らかにすることを目的としている。
発表内容として、まず「制度」という概念の複合性を指摘し、デジタルアーカイブと(知識)コモンズ研究の関係を示し、知識コモンズ研究の前身であるコモンズ研究と照応しつつ知識コモンズ研究の概要および同方法の詳細を明らかにする。最後にデジタルアーカイブ研究における同方法論の意義を考察する。
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桜井 有里, 住本 研一
2019 年 3 巻 2 号 p.
127-130
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
デジタルオブジェクト識別子(DOI)は国際規格の識別子である。学術論文の分野ではDOIの利用が義務化されている雑誌もあり広く普及しているが、最近では研究データや画像、古典籍や博物館の展示資料等にもその利用範囲が拡大している。
画像や古典籍、絵画や写真等を電子化したコンテンツを公開する際に、将来にわたっていかにアクセスを保証するか、コンテンツを流通させるかは重要な課題である。さらに絵画や版画などは、タイトルや作者が同じでも版が異なるものも多く、引用や解説を行う際に一意性を確保・把握することも重要な課題とされている。
本発表においては、まずDOIの仕組みを説明するとともに、近年増加している画像、古典籍、絵画等に対するDOI付与の事例を紹介する。また、電子化コンテンツに対する永続性、一意性の確保・把握等の課題に対し、その解決策の一例として用いられているDOIの活用方法について説明する。
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原田 悦志
2019 年 3 巻 2 号 p.
131-134
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
NHKワールドTVで放送されている、全世界向け日本音楽番組『J-MELO』では、2010年以来、東京藝術大学及び慶應義塾大学の調査協力で視聴者調査『J-MELOリサーチ』を行ってきた。この調査は「視聴者の年齢層」「居住する国や地域」等の毎回行われる質問と、「日本のアーティストが、もっと世界で支持を集めるようになるにはどうしたらよいか」等、年度ごとの特別な質問や提言とを織り交ぜて実施されてきた。2018年6月までこの番組のチーフ・プロデューサーを務めていた発表者が、メディアやコンテンツを取り巻く状況やデータに関する報告を交えながら、10年代におけるJ-Popの世界伝播に関する解析を行いたい。
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菊池 信彦
2019 年 3 巻 2 号 p.
135-138
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
本報告では、「スペイン史研究のためのウェブリソースポータル」の構築背景とそのシステムを論じる。筆者が行ったスペイン史学会会員に対するアンケート調査の結果、研究上有用なウェブリソース情報の入手の場がないこと、また、近年興隆しつつあるデジタルヒューマニティーズ(DH)やデジタルヒストリー(DHis)の成果が十分享受できていないことが明らかになった。そこで報告者は、DHやDHisを含むスペイン史研究のためのウェブリソース情報の入手と共有を目的に、Omeka.netを利用したポータルサイトを構築した。その特徴は、メタデータの入力項目を減らし徹底的な省力化を図ったこと、展示機能を活用したウェブリソース入門用ページを作成したこと、また、ウェブフォームを活用し研究者からのフィードバックを得られるようにしたこと、そしてなにより構築から運用まで、すべて無料で利用できるものだけで作成したことにある。
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藤岡 洋
2019 年 3 巻 2 号 p.
139-142
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
動的映像資料は現在のところ多くの場合、上演・配信という形態をもって活用されているように思われる。だが動的映像にはまだ他種研究資料に劣らないポテンシャルを有していないだろうか。その可能性の一端を40年前に標準的な8mmフィルムカメラによって記録された映像を再資料化する試みを通じて探る。するとそこには記録された対象としてばかりでなく、同時的にはフレーム外の、継時的にはショット間の情報を導出するメルクマールとしての対象が見いだせる。本発表では映像撮影者の記憶や記録、未整理のまま埋もれている資料に、ショット内・ショット間分析を通じて漸次的近づくための提案を行う。それは動的映像を静的映像資料化+文字資料化することで再資料化する試みである。
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保坂 涼子
2019 年 3 巻 2 号 p.
143-146
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本稿は筆者が『近代日本彫刻史』(田中修二、大分大学)において巻末索引を作成した際のデータベースをもとに本の内容を浮かびあがらせようというものである。索引作成持に必要となるのはキーワードの設定と主要な固有名詞の選定である。田中修二の『近代日本彫刻史』は江戸時代までの日本美術史の中で語られてきた彫刻的な造形と明治期以降の近代日本彫刻史とを明確に区分するという意図を持っていない。「彫刻」というメディアと分離して取り扱われてきた分野の間にも彫刻的造形を見出すという新たな試みである。西洋のsculptureという意味で「彫刻」という語が登場するのは1876(明治9)年の工部美術学校の開設以後からと考えられる。明治期以降「彫刻家」として活躍した人物たちの中には仏像制作の仏師、様々な業種の職人までも含まれる。全9章から抽出した固有名詞、造形表現用語、各種事項の作成作業についての報告である。
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佐野 智也, 増田 知子
2019 年 3 巻 2 号 p.
147-150
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
「日本研究のための歴史情報」プロジェクトでは、様々な資料のデータベース化に取り組み、研究に利用している。研究利用のためには、テキストデータであることが重要であるが、明治~占領期の資料について、テキストデータの作成はあまり活発におこなわれていないように思われる。本報告では、『人事興信録』データベースと「SCAPIN」データベースについて、テキストデータの作成方法を説明する。また、データベース化にあたっては、研究利用の立場からの様々な要請に応えており、これらデータベースと研究利用の関係についても報告する。
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永崎 研宣
2019 年 3 巻 2 号 p.
151-154
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
現在、世界中のデジタルアーカイブ公開機関から多くのコレクションが公開されている。しかしながら、「コレクション」への興味を持つ人はそれほど多いわけではない。むしろ、自らの関心のあるテーマに沿って各地のコレクション中の個別の資料を横断して閲覧したり注記したりすることを望む利用者への対応が課題であり、IIIFはそれを解決し得るものである。そこで、筆者らはIIIFの採用を推進すべく各地で活動を行ってきた。国際規格の普及活動は今後も必要になることが予想されるため、情報共有のためにこの活動について報告する。さらに、IIIFのグローバルな普及から得られる公開者・利用者双方のメリットについて事例とともに紹介する。
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中村 覚
2019 年 3 巻 2 号 p.
155-158
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本研究では、『捃拾帖』の内容検索を可能とするシステムの開発事例について述べる。『捃拾帖』とは、明治時代の博物学者である田中芳男が収集した、幕末から大正時代にかけてのパンフレットや商品ラベルなどを貼り込んだ膨大なスクラップブックである。東京大学総合図書館はこれらの画像を冊単位で公開しているが、貼り込まれた資料単位での検索が望まれていた。この課題に対して、本研究ではIIIFのアノテーション機能を利用し、各頁の貼り込み資料単位で画像を切り出し、検索可能なシステムを開発した。また、東京大学史料編纂所の「摺物データベース」が提供する、貼り込み資料単位のメタデータと組み合わせることで、内容情報に基づく検索を可能としている。本研究はその他、複数の機関が提供する各種リソース(IIIF・オープンデータ)を組み合わせて利用している点に特徴があり、デジタルアーカイブの利活用を検討する上での一事例として機能することを期待する。
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河道 威, 古賀 崇朗, 永渓 晃二, 米満 潔
2019 年 3 巻 2 号 p.
159-162
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
佐賀大学クリエイティブ・ラーニングセンターでは、これまでに佐賀県内の伝統工芸や伝承芸能などの歴史的・文化的な資産や資料を映像として記録し、アーカイブコンテンツを制作している。更に、それらは本学の学修教材として利用したり、「佐賀デジタルミュージアム」において公開したりしている。それらの映像の撮影には、2010年度ごろまではDVカメラ(SD画質)、2011年度からはHD画質のカメラ、2017年度からは4Kカメラを使用してきた。2018年度からは、360度全方位を撮影できる業務用の360度カメラを導入し、360度実写VRコンテンツの制作にも取り組んでいる。そして、360度カメラの全方位を動画や写真で撮影できる利点を生かした映像アーカイブにも活用している。
本稿では、360度カメラによるアーカイブコンテンツ制作の現状と課題について報告する。
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須之内 元洋
2019 年 3 巻 2 号 p.
163-166
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
文化資源の蓄積と永続的継承を意図して構築されるデジタルアーカイブにおいて、その長期的ケアを具体的に計画し実践することは、運用者の倫理的な義務である。しかし、様々な要因によって、運用中のアーカイブの停止や規模縮小、意図しないデータ消失といった問題が顕在化している。特に、コミュニティアーカイブのような中小規模のデジタルアーカイブにとっては、こうした問題に対する論理的対応手順の検討と事前準備を行っておくことが、喫緊の課題となってきている。運用開始から11年となる森正洋デザインアーカイブを例として、システムマイグレーション・フローチャートの構築を試み、その考察を行った。
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大橋 正司, 平川 裕蔵
2019 年 3 巻 2 号 p.
167-170
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
毎日新聞社とフューチャー社グループのフューチャーアーキテクト社は、2018年11月、新聞制作のコンテンツ管理システムを共同で開発し全面的に刷新した。この刷新と同時に、それまで紙面を降版したあとにインターネットなどに配信する「紙面中心・ベルトコンベア型」だった業務フローは、紙面と各媒体向けの記事制作・リアルタイム配信を同時に行っていく「紙とデジタルの同時並行展開・分散型」業務フローへと大きく舵を切った。
本発表では新聞社がどのように膨大なコンテンツの制作とデータ管理に取り組んでいるのか、コンテンツ管理システム刷新の過程で検討されたコンテンツ制作、アーカイブ収録管理、利活用における課題と工夫、新しい業務フローと考え方がもたらす変化について、全国紙の大規模なコンテンツ管理・アーカイブシステムの全容をお見せしながら紹介する。
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尾鷲 瑞穂
2019 年 3 巻 2 号 p.
171-174
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
オープンサイエンスの潮流が広がる中、研究データの公開とその方法についても関心が高まっている。科学研究の学術論文投稿時には、その研究を通して生産された研究データの公開が求められ、メタデータと併せて永続的固有識別子であるDOI(Digital Object Identifier)をその研究データに付与することが求められるようになってきている。その際には、データの再利用や引用のしやすさを考慮した上で、その粒度やメタデータへの記載にも留意する必要がある。しかし、その考え方は、分野によっても相違があり、統一した方法があるわけではない。今回は、気象観測データや環境モニタリングなど、先に集積的なデータが公開されており、それを解析して研究を行うようなケースと、社会調査や疫学調査など、データ集計の経過途中で論文が出版されるケースを取り上げ、学術論文の出版を見据えた研究データへのDOI付与の考え方の必要性を報告する。
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常石 史子
2019 年 3 巻 2 号 p.
175-178
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
フィルムアルヒーフ・オーストリアは、映画フィルムおよび映画関連資料の収集・保存および公開を使命とするフィルムアーカイブであり、デジタルアーカイブの構築にも積極的に取り組んでいる。2012年以降は「あなたのフィルムが歴史をつくる」をモットーに、各州政府および国内最大の放送局ORFと共同で、ホームムービーの収集およびデジタル化を継続的に行なっている。ブルゲンラント、ニーダーエスターライヒ、サルツブルクの各州から収集し、デジタル化を完了したフィルムは11万本を超え、ホームムービーの分野では先駆的かつ最大のデジタルアーカイブの一つとなっている。本報告では、中でも最大規模のニーダーエスターライヒ州の例を中心に、7万本を超えるフィルムを正味3年足らずの期間にデジタル化するにあたり、浮上した様々な課題について述べる。
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北村 美和子
2019 年 3 巻 2 号 p.
179-182
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
英国のコミュニティデジタルアーカイブについて紹介する。本研究ではコミュニティ主体で構築・公開されたデジタルアーカイブについて着目した。これらのコミュニティ主体のアーカイブには、英国の1970年代の経済危機における厳しい社会状況の中で、社会的弱者となってしまった移民やマイノリティコミュニティへの差別をなくすためにコミュニティの人種・宗教などの理解を広めるために構築され、一般に公開されたものが多い。本研究では英国におけるこれらのコミュニティ主体のデジタルアーカイブ活動の背景を調査し、またテキストマイニングなどにより現在のトレンドを明らかにした。
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大西 智樹
2019 年 3 巻 2 号 p.
183-186
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
「しでんの学校」では市民の方から集めた横浜市電の写真をデジタルアーカイブとしてウェブサイトで公開する「しでんちゃん横浜プロジェクト」を2013年から始め、現在では700枚を超える写真の提供を頂いている。同時に、デジタルアーカイブ「デジタルでみる横浜市電の写真マップ」(通称;しでんマップ)の構築を進めており、2018年9月に限定的な公開を開始した。また、提供された写真をデジタルアーカイブとして公開するだけではなく、街歩きや写真展への活用など、デジタルアーカイブを活用した取り組みについても実績が蓄積されつつある。そこで本稿では、これまでの実践をもとに、市民団体がデジタルアーカイブを構築・公開した上で、ウェブサイトと団体の継続的な運営、さらにはデジタルアーカイブを利活用するための一方法論を提案するとともに、それらの課題を明らかにすることを目的としている。
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青木 和人, Miya M, 三皷 由希子
2019 年 3 巻 2 号 p.
187-190
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本研究では、インターネット百科事典Wikipediaと同じく、現在、最も知られているオープンデータプラットフォームであるWikimedia Commonsに着目した。そして、兵庫県伊丹市に残る酒造り唄を伊丹市立図書館ことば蔵における市民参加型活動にて、Wikimedia Commonsにオープンデータデジタルアーカイブする試みについて、その意義と課題について考察した。その結果、Wikimedia Commonsをデジタルアーカイブプラットフォームとすることで、費用をかけない永続的なデジタルアーカイブをオープンデータとして実現した。そして、地域の歴史的音源の市民参加型のデジタルアーカイブ手法を提示した。さらに、歴史的音源のオープンデータデジタルアーカイブに際しては、歌唱者、演者も含めた著作権者全員の許諾とその手法の確立が必要であることが明らかとなった。
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前川 道博
2019 年 3 巻 2 号 p.
191-194
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
長野県蓼科高校の「蓼科学」は、生徒が地元立科町を学ぶ地域科目である。学習メディア環境にはスマホとアーカイブサービスを適用した。アクセス側の主体性において成立する自己開発/学習機能の実現にその主眼を置いている。「蓼科学アーカイブ」は、生徒たちの地域探検(取材)をアーカイブサイトに載せ合う形で地域理解を深める学習プログラムである。生徒がスマホを使って地域を記録し、皆で地域アーカイブを構築できる学習メディア環境「信州デジタルコモンズ試作版」を構築した。当該の取り組みでは生徒がスマホを活用することで、地域探求課題を自分事として取り組む面白さが向上し、学習意欲の向上につながった。学習成果は毎年蓄積されるため、年度を超えた学習アーカイブが容易に構築できる。地元(長野県立科町)の地域アーカイブを地元住民に公開して学習成果(地域の記録)を地域に還元することができる。
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皆川 雅章
2019 年 3 巻 2 号 p.
195-198
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
明治初期か始まる開拓者たちの苦闘の歴史は,さまざまな形で北海道に残されている。子孫にその歴史を伝えるには、各地で父祖が刻んだ開拓・開発の痕跡をデジタル化して記録・保管・公表することが有効な手段の1つになる。本報告では、その取組みの最初の段階として、北海道の179市町村の歴史のインターネット上での公開状況を調査・整理した結果を記す。著者はウェブサイト上における地域の歴史の公表形態を、①写真展型、②年表型、③概要型、④資料型、⑤歴史物語型、⑥Wikipedia型に分類し、その事例をまとめた。また,①メッセージの明確さ、②最低限の要件、③資料型の活用、④記録に対する想い、という観点から地域の歴史公開サイトの現状分析を行い、地域の歴史のデジタルアーカイブ化に向けた課題を記している。
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林 知代
2019 年 3 巻 2 号 p.
199-202
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
岐阜県安八郡輪之内町をフィールドに、輪中に関する地域研究資源のデジタルアーカイブ化を目指し、資料収集活動を行った。具体的な活動内容は、輪中関連史跡等の写真撮影とドローンを用いた空撮、輪中に関する私設博物館「片野記念館」の所有する古文書・古地図等の資料のデジタル化である。
輪中研究の分野は、昔から地域研究が盛んな分野であるが、長年に渡って集められた貴重な資料や研究成果が、地域研究の分野でも研究者の高齢化や媒体の進化によって活用しづらい状態にあった。これらの資料のデジタルアーカイブ化を進めることで、地域研究資源の活用の活性化に多いに役立つのではないかと考える。
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石橋 豊之, 柊 和佑, 三河 正彦, 安藤 友晴
2019 年 3 巻 2 号 p.
203-206
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本研究は、これまで市民の持っている情報を幅広く引き出す支援を行い、地域が使いやすい語彙とともにその意味を蓄積するシステムの構築を目指し、これまで複数回稚内市において実験をおこなってきた。現状ではオーラルヒストリー的手法を用いて情報を収集しているため、実験対象者から聞き取る情報に関しては原則、その人にとって過去のものとなる。そのため、重要な同定情報であるはずの地名が、すでに使われていない過去の名称で語られることが多い。
この問題の解決のため、デジタル情報資源同士を、過去を含めた地名で結びつかせるための地域資源メタデータスキーマの構築を進めている。現在は、地名を行政上のものと地域住民内で共有されている愛称に分け、その出現年代を推定するために稚内市で調査を進めている。本発表では、本研究の考える地域包括的支援サービスの概要と、地名の変遷の調査・記録・組織化のための手法に関して解説する。
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宮本 隆史, 前川 俊行, 中村 覚
2019 年 3 巻 2 号 p.
207-210
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
1997年に開設されたウェブサイト『異風者からの通信』[1] は、同年に閉山した三池炭鉱とその地域の近現代史に関心を寄せる者にとって参照点となってきた。本発表では、ウェブサイトを運営する前川俊行を共同発表者として招き、日本における初期のウェブの時代からの、個人による記憶の発信という営為の歴史的意味について議論する。前川本人の証言とともに、この20年間のインターネットの環境の変化の中で、個人的なコレクションが公共性を帯びたアーカイブとして進化した過程を論じる。さらに、個人アーカイブを継承する方法について考察する。
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小森 一輝
2019 年 3 巻 2 号 p.
211-212
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
本発表では、デジタルアーカイブの教育利用に際し、学習指導要領、および教科書とコンテンツの関連づけに課題があることを指摘する。また教員は、デジタルコンテンツを学習指導の補助として捉えており、コンテンツ自体を学習させることに消極的である可能性がある。このことから、デジタルアーカイブを学校へ提供する際には、コンテンツと学習内容との対応を明確にし、コンテンツを用いた指導案や教材案を示すことが効果的であると結論づけた。
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大橋 正司, 五十嵐 佳奈
2019 年 3 巻 2 号 p.
213-216
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
デジタルアーカイブを市民へと開いていく中では、研究者などの「すでにそこにいる」利用者ではない人々の眼差しを共感的に理解し、新たな利用者が使い続けたいと感じるサービスの提供や、多様な使い方を保証するのに必要な機能やインタフェースの有効性を検証するデザイン手法の成熟が鍵を握る。
そこで本発表では、デジタルアーカイブの設計における課題とデザイン手法の必要性を整理し、現場の必要に応じて導入できるデジタルアーカイブのデザインプロセスの標準化について検討する。デジタルアーカイブアセスメントツール[1]を機械的に達成すべき「チェックリスト」ではなく、適切なデザインプロセスの結果、必然的に達成される「アウトプット」として、具体的に分かりやすく導き出せることを示し、デジタルアーカイブの設計者が、サービスの多様性と利活用の可能性を大きく広げられる素地をつくることを目指す。
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久世 均
2019 年 3 巻 2 号 p.
217-218
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
飛騨高山匠の技の歴史は古く,古代の律令制度下では,匠丁(木工技術者)として徴用され,多くの神社仏閣の建立に関わり,平城京・平安京の造営においても活躍したと伝えられている。しかし,現在の匠の技術や製品についても,これら伝統文化産業における後継者の問題や海外への展開,地域アイデンティティの復活など匠の技を取り巻く解が見えない課題が山積している。
本研究では,知識循環型社会におけるデジタルアーカイブを有効的に活用し,新たな知を創造するという本学独自の「知の増殖型サイクル」の手法により,これらの地域課題に実践的な解決方法を確立するための,地域資源に関する総合的な地域文化の創造を進めるデジタルアーカイブの保管方法ついて研究したので報告する。
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古賀 崇
2019 年 3 巻 2 号 p.
219-222
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
政府情報アクセスを担う専門職、すなわちアーキビスト、図書館司書、レコード・マネジャーなどの育成と、デジタルアーカイブとの関わりについて考察する一助とすべく、2017年にワシントン大学(米国シアトル)とブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)での教育活動について訪問調査を行った。その結果、デジタルアーカイブ上にある既存の政府刊行物の共有や、新たなデジタル情報技術の活用など、日本での専門職教育の示唆となり得る点を見出すことができた。
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鈴木 親彦
2019 年 3 巻 2 号 p.
223-226
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本発表では、ユーザーとしての研究者の立場でデジタルアーカイブを横断活用した研究事例を示し、ユーザー視点からアーカイブの活用について議論する。特に国際的画像配信規格であるInternational Image Interoperability Framework(IIIF)がもたらす相互運用性を軸とし、ユーザーである研究者が「キュレーション」として主体的にIIIF画像を活用することを可能にしたIIIF Curation Platform(ICP)と、それを利用した美術史や文化資源学での研究事例を中心に置く。具体的には第2回研究大会で発表したプロトタイプ研究を発展させた「顔貌コレクション」の構築と、江戸時代の観光案内である「名所記」の横断的なキュレーションについて紹介し、これらのキュレーションが、さらに新たな情報とつながっていく可能性を示す。これらの実践と通じて、メタデータの整備やIIIFの発見性の問題についても議論する。
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岑 天霞, 渡邉 英徳
2019 年 3 巻 2 号 p.
227-230
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
本研究の目的は,日中両国の戦争に関する歴史認識を明らかにすることである.このために,すでにネットでアーカイブされている映画情報とコメント情報を分析し,日本と中国の戦争映画の「送り手」と「受け手」の現状を読み取った.まず日中両国の歴史・戦争を題材とした映画の内容と舞台を解読・比較し,日中両国の映画製作側の意図と表現手法の変遷を明らかにする.その上で,映画情報サイトから映画のレビュー情報や,「ニコニコ動画」などの弾幕動画サイトのコメント情報を収集・分析し,若者の映画鑑賞者(これらのサイトの主なユーザは10代後半から30代の若者)の戦争・歴史認識を明らかにする.本研究の成果によって,日中両国の若者における歴史認識の違いを明らかにし,新しい時代における日中歴史和解実現に示唆するものを得ることができると考えられる.
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井上 透
2019 年 3 巻 2 号 p.
231-234
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
デジタルアーカイブの開発、運営を担うデジタルアーキビスト養成において、当初は博物館・図書館・公文書館・大学が所蔵する有形・無形の文化遺産のデジタル化とウェブ公開のための理論・技術・著作権処理が中心であった。その後、自治体や企業・産業資料など取り扱う対象の質・量の拡大し、組織的なデジタル化やオープンデータ化などデジタルアーカイブを社会の知識基盤とするための対応が必要となるなど、理論・技術・権利処理など養成内容が変化している。人材育成におけるデジタルアーカイブ理論の課題と今後の方向性を考えたい。
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小山田 智寛, 福永 八朗, 二神 葉子, 三島 大暉, 田所 泰
2019 年 3 巻 2 号 p.
235-238
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
東京文化財研究所(以下、当研究所)は1930年の設立以来、文化財に関する様々な情報を蓄積してきた。これらの蓄積による成果は主に刊行物として発表されてきたが、情報そのものの活用は限定的だった。対象とする文化財や、調査・研究手法を限定せず、幅広く情報を蓄積しており、情報の管理・運用が個々の研究者に任されていたためである。そこで、これらの情報のより活発な活用を目指して、総合的な文化財情報のアーカイブが構想され、2014年、プロトタイプとして、所蔵資料や刊行物を中心としたデータベースである刊行物アーカイブシステム(以下、刊行物AS)を開発した。本発表では刊行物ASの運用について報告し、合わせて刊行物ASの成果として『日本美術年鑑』および「東文研 総合検索」について紹介する。
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丸山 高弘
2019 年 3 巻 2 号 p.
239-242
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
デジタルアーカイブの構築においては、サーバ側にWebアプリケーションの構築が不可欠である。しかしながら構築時のイニシャルコスト、運用時のランニングコスト、システムのバージョンアップ時の対応、サーバやドメインの移行など将来の不測の事態を含めて考慮すると、費用対効果だけでなく持続性・継続性に課題が残る。それに対して、一定の条件下であれば(逐次更新でなくても可、複数の利用者が同時に更新することはない、アイテムの増減がないなど)、静的なHTMLファイルでサイトを構成することで、一般的なWebサーバがあれば運用が可能となり、仮にサーバがなくてもストレージ内(HDDやCD-R/DVD-RやUSBメモリ/ SDカードなど)においても利用することが可能となる。もちろん静的なHTMLファイルであればテキストエディタでの編集も可能だ。ただし通常数千個、数万個の大量のHTMLファイルをテキストエディタで編集するのは手間がかかる作業ではある。そこでデータベースソフトウェアのFileMakerProを用いてHTMLファイルを連続的に自動生成させる方法と、それにより構築した『件名で本を探す』『索引で本を探す~富士山資料編』を発表する。
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中西 智範, 瀬上 敦子, 土屋 紳一
2019 年 3 巻 2 号 p.
243-246
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
2018年11月30日、早稲田大学演劇博物館は『演劇博物館収蔵資料デジタル化ガイドライン』をクリエイティブ・コモンズCC0ライセンスで公開した。本発表は、ガイドライン公開の背景や経緯、公開後のガイドラインの利活用における取り組みについて報告する。
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時実 象一, 宮本 隆史, 富田 泰之
2019 年 3 巻 2 号 p.
247-248
発行日: 2019/03/15
公開日: 2019/06/01
ジャーナル
オープンアクセス
J-STAGE Data
電子付録
2010年前後に各地で市民の手によるデジタルアーカイブ活動が報告されるようになった。しかしそれらは永続性に問題がある。東大和市では、地域活動を基礎としたデジタルアーカイブを、市の予算と独立し、汎用ツールを活用することにより、できるだけ永続性がある形で構築しようとしている。その試みについて報告する。
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