2019 年 3 巻 2 号 p. 251-254
月周回衛星「かぐや」に搭載されたハイビジョンカメラ(HDTV)は600以上の映像を取得した。広報目的に加え科学的な価値を見出すため、他の観測機器と同様に科学データとしてアーカイブを行った。HDTV映像は標準で30fpsの60秒間の1800枚のフレームから構成され、2倍速、4倍速、8倍速で撮像可能である。データアーカイブでは動画をフレームに分割して静止画として扱い、撮像時刻、動作モード、衛星位置、撮像範囲等を含め、総計100万枚以上の静止画にメタデータの付与を行った。ファイルフォーマットは天文学分野標準のFITSを用い、ディレクトリ構造やメタデータ記述は惑星探査データの標準規格であるPlanetary Data System (PDS)を用いた。FITSとPDSは親和性が高く2つの基準を満たすことが容易である。そのためHDTVデータは天文学分野と惑星探査分野の両方のツールを利用することが可能なハイブリッド仕様である。本発表ではHDTVデータの長期保存への取り組みをその背景と共に報告するものである。