2020 年 4 巻 2 号 p. 120-123
本稿では、まず占領期に日本で撮影され、米国に所在する写真史料の全般的状況を現地調査に基づいて整理した。写真素材をオフィシャル写真、パーソナル写真、プレス写真の3つに、還元する主体を公的機関、研究者・コミュニティ、出版社等営利団体の3つに区分した上で、還元のあり方を分類した。さらに今後の還元の方向として、①公開度を高める、②コレクションを横断する、③地域に戻すという3つを提示した。具体的には、①研究者が保持しているオフィシャル写真を共有すること、②研究コミュニティが研究ツールとしている複数のパーソナル写真を共有すること、③撮影された場所や地点に写真を持ち込み、写真を囲む場を作ることを提示した。