2020 年 4 巻 2 号 p. 132-135
災害発生時の災害・防災情報は、時々刻々と発信される情報の内容が変化し更新されていく。そのため、一部にはタイミングを逃すと取得できない情報が出てくる。防災科研では防災・災害情報を発信している各Webサイトを4時間ごとに巡回し、情報を収集・保存・整理・発信するシステムの開発をはじめた。Webサイト情報のアーカイブは、日本国内では国立国会図書館のWARPがあるが、収集間隔が発災時に頻繁に更新される災害・防災情報の収集・保存のタイミングと一致しているわけではない。またグローバルにみても、Internet ArchiveがWebサイト情報を網羅的に収集しているが、ここも頻繁に更新される災害・防災情報の収集・保存のタイミングに対応できておらず、部分的にしか災害・防災情報をアーカイブできていない状況である。
災害発生時の災害・防災情報の収集・保存・整理・発信は、将来的に防災・災害情報を組織横断で統合したタイムラインとして生成することを目的としている。この横断・統合的災害情報タイムラインは、散逸しがちな防災・災害情報を一元的に俯瞰できることも目的としている。タイムラインの実現にあたっては可能な限りシステムを自動化し、リアルタイムに近い時間で統合した情報を発信できるようにしたいと考えている。
現在、まずは災害・防災情報を自動収集することを目的としたシステムを開発中である。今後、巡回先(現在、139機関、217サイト巡回)を増やし、情報の収集漏れをなくすとともに、情報の精度を高め、さらに収集した情報をタイムラインへ自動反映するための研究開発と各Webサイトの災害・防災情報の発信についての提案を行う予定である。