デジタルアーカイブ学会誌
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口頭発表
[A34] 伝統空間のデータ化と閲覧システムの有効性と課題:データ化手法・閲覧形態の違いにおける「思い出」想起の差異を通して
渡辺 暁雄三浦 彰人小関 久恵
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 4 巻 2 号 p. 128-131

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抄録

地域の伝統建造物の「空間」を「一般的なデジタルカメラ」「全方位カメラ」「深度カメラ」で撮影したデータを閲覧した場合,それぞれの視認性、現実感、利便性、他者との情報共有、過去想起等にいかなる差異を生じるかを検証した。結果、「視認性、現実感」では1)「年齢」による生理的・生活文化的な差異 2)職業履歴による違い 3)深度カメラの技術的な課題 4)対象空間への接触頻度による相違が、「利便性」では1)合意形成時における全方位カメラ・深度カメラの有効性 2)特定の職業内容における深度カメラの有効性 3)伝統的建造物の修復に際しての深度カメラの有効性が、「過去想起」では1)プリントされた写真の優位性 2)画像の「真正性」からくる閲覧者の記憶との齟齬の発生とそれによる不安等の感情の発生が見出された。また写真やPC画面に映し出される「空間」に関する閲覧者の語りは、他の閲覧者の語りを誘発し、地域文化の振興に寄与する可能性も見受けられた。

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https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja
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