2020 年 4 巻 2 号 p. 146-149
服飾分野の研究、教育を大学活動の柱とする本学には関連資料やローデータが多く蓄積される。しかし公開を意図された一部を除き、二次利用を促す研究資源化(資料の保存、デジタルデータ化、情報の適切な管理)は殆ど進んでいない。服飾は足場とする領域が化学、物理学、消費科学、プロダクトデザイン、歴史学など多岐にわたり、利活用が期待される資料も少なくない。ここに資源化に向けた意識醸成が望まれる理由がある。本学の研究、教育の軸は縫製やデザインの「技術」にあり、実習教材に特徴がある。とりわけ短期大学部では、1950年の設置以来、被服構成学教材、とくに完成見本である「標本」と設計図である「作図」が作成されてきた。計1,806点が残るこれらは、服飾教育のあゆみを振り返るのみならず、現代服飾の変遷や社会の諸相を知る手がかりとしても得がたい資料である。本報告はこれら資料の資源化に向けた手法を検討するものである。諸賢のご助言を賜りたい。