2020 年 4 巻 2 号 p. 229-232
欧米でデジタルアーカイブ化が着実に進んでいる。2004年、グーグルは出版社や図書館から書籍を提供してもらった書籍をデジタル化して検索可能にする電子図書館構想を発表。米国の一民間企業主導の電子化に対して懸念を抱いたフランスのよびかけで、欧州は2005年に各国の文化遺産をオンラインで提供する欧州デジタル図書館計画、ヨーロッピアーナを立ち上げた。法制面でも孤児著作物を利用しやすくするため、2008年に孤児著作物指令、2019年にはデジタル単一市場における著作権指令を制定。後者では拡大集中許諾制度を採用、集中許諾制度は権利集中管理団体が著作権者に代わって著作権を管理する制度で団体の構成員のみが対象だが、これを構成員以外にも拡大する制度。米国でも導入の動きはあったが、グーグルの電子図書館構想に対する訴訟でフェアユースが認められたため不要とする意見が多く見送られた。欧米に比べると牛歩の観が否めない日本の対応策を提言する。