2022 年 6 巻 s2 号 p. s95-s98
南⽅熊楠(1867〜1941)は、⾃然史や⺠俗学など幅広い分野で資料を収集した⼈物で、⽇本における環境保護運動のきっかけをつくり、「エコロジー」という⾔葉を広めた⼈物でもある。熊楠は海外渡航から帰国した1901年以降、多数のきのこ標本を採集し、その標本で数千点の「南⽅熊楠菌類彩⾊図譜(以下菌類図譜)」を作成した。菌類図譜は、熊楠の半⽣における⾏動や指向を知る上で貴重な資料であり、⽇記や他の資料と相互参照・利⽤するためにも国⽴科学博物館においてデジタルアーカイブ化が進められている。このデジタルアーカイブ化を推進し、成果を公表する⽬的で、電⼦展⽰の作成に取り組んだ。本発表では、図譜の概要を紹介するとともに、このデジタルアーカイブ化にあたっての課題、電⼦展⽰化の意図などを紹介する。