2022 年 6 巻 s3 号 p. s139-s142
東日本大震災関連資料(以下、資料)を対象とした震災関連デジタルアーカイブは、震災で得た教訓を後世に伝えることを目的に各所で構築されている。対象の岩手県立図書館震災関連資料コーナーは発災翌年4月に本公開されたが、OPACで管理された資料は研究者や調査者といった強い関心と目的意識がなければ利用することが難しい状況にある。そこで著者らは、資料を用いた活動によって新規に作成されたデジタル資料がアーカイビングされ、それによって資料の利用活性を促す仕組みを資料循環型デジタルアーカイビングシステムと呼び、その活動を支援するシステムの研究開発を、2014年以来継続的に行なって来た。本稿ではその試行から得られた知見をまとめるとともに、今後の研究について展望する。