2022 年 6 巻 s3 号 p. s155-s157
デジタルアーカイブ(以下、DA)の議論の場においては、議論の前提を共有することの困難さがある。この解決のためにはインターネットの4階層モデルにヒントをモデルとするデジタルアーカイブのレイヤーモデルを確立することが有効である。このモデルはデジタルコンテンツ/アノテーション/インターフェイス/コミュニケーションの4階層と法・規範・技術標準等を含む要素からなる。DAの構築運用にかかわる様々な営為は前者の4階層に分類される一方、後者の要素は4階層のすべてに関わり、全体を規定しつつ各階層から影響を受けるというインタラクションのなかで新たな知識基盤を形成していく。このモデルを踏まえることで、議論の前提の共有が容易になるだけでなく、DAの様々な課題への対処やこれに関わる組織や個人の連携・協力も促進されることが期待される。