2023 年 7 巻 s2 号 p. s134-s137
現代美術作品および作家を理解し、評価するためには、作品だけでなく、制作道具や作家活動から生み出された記録といった周辺資料が不可欠である。しかし、博物館における周辺資料の保存に関しては、長期保存が難しい材料が素材として使用されているケースや、年々増え続ける収蔵品の収蔵場所の限界など、様々な問題がある。
本発表では、博物館における収蔵品の周辺資料を保存するための提案として、発表者らが関わる現代美術作家・日比野克彦のアトリエ保存プロジェクトの事例を紹介する。具体的には、周辺資料の3Dデジタルデータの取得と活用や、クラウドファンディングの支援者とともに実施した資料の分散保存などの取り組みについて報告する。