2023 年 7 巻 s2 号 p. s146-s149
東日本大震災後、その記録や教訓を残し後世へ継承していくことを目的として数多くの災害デジタルアーカイブが構築された。これらの利活用として、小中学校における防災教育などが見受けられるが十分に利用されているとは言い難く、包括的な利活用に関する研究も限られている。
そのため、本研究では東日本大震災に関する災害デジタルアーカイブの利活用の実態の把握を目指し、アンケート調査とインタビュー調査を実施した。アンケート調査では、災害デジタルアーカイブが震災に関する展示や資料の作成、学校や地域での防災教育や防災イベント等で利活用されていることが明らかとなった。またインタビュー調査を通し、利活用の促進のためにはアーカイブを使いやすくする機能や仕掛けなどが求められることが明らかとなった。
本稿ではこれらの調査結果に基づき、災害デジタルアーカイブが果たす役割と利活用の促進において必要とされる要素や課題を考察する。