2023 年 7 巻 s2 号 p. s63-s66
自治体連携は、小規模自治体がデジタルアーカイブ(以下DA)構築に取り組む上での障壁となるノウハウやリソースの不足を補い、事業の効率性と効果を高める方法と期待される。しかし、自治体連携によるDA構築の事例はまだ少なく、同方法の課題と可能性は十分に検討されていない。そこで本発表では、福島県奥会津地方の広域7町村(柳津町・三島町・金山町・昭和村・只見町・南会津町・檜枝岐村)によるDA構築の試み「奥会津デジタルアーカイブ準備室」の実践紹介を通い、自治体連携型DA構築の検討の出発点としたい。
全国有数の豪雪地帯という環境と旧南山御蔵入領としての文化・歴史、電源立地としての共通利害で結ばれた7町村によるDA構築は、同地域の文化資源管理全体の基盤整理事業として期待される。しかしその実現には、議論の基盤となる共通認識の醸成、意思決定過程の明確化、作業の徹底した省力化、データ作成・保管環境の整備等の課題が残されている。