2024 年 8 巻 s2 号 p. s115-s118
近年、国内外で美術、音楽、演劇、舞踊といった芸術資源を対象としたデジタルアーカイブが構築され、様々な分野で利活用が進んでいる。しかし、アーティストを対象とした研究はまだ報告がわずかであり、アーティストによるデジタルアーカイブの活用方法や問題点などについては不明な点が多い。そこで本発表では、アーティストの創作に適したデジタルアーカイブについて検討することを目的に、先行研究において指摘されている課題を整理するとともに、東京藝術大学未来創造継承センターにて実施している芸術資源活用プロジェクト公募について紹介する。さらに、演奏家である発表者(酒井)が、当事者の視点からアーティストが創作に用いる際にデジタルアーカイブに求められる要素について考察を行った。これらの課題を踏まえ、様々なアーティストの個別事例の収集・蓄積を行うことにより、創作に適したデジタルアーカイブの構築が可能となると考えられる。