2024 年 8 巻 s2 号 p. s43-s46
本稿の目的はOpen Source Intelligence(OSINT)活動の初期参加および継続参加の動機を明らかにすることである。そのために、2022年2月以降のウクライナ侵攻に関心を持ち、主にXを用いて活動する6名を対象とした半構造化インタビュー調査と質問紙調査を行ない、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)の手法を用いて分析する。その結果、活動の特徴、構造、動機、阻害理由を表す28概念が生成された。これより、初期参加の動機の概念として「社会と自分の一続き感」「弔いの手段」「外伝的な探り当てのゲーム感」「自己効力感」の4概念が明らかになった。一方で継続参加の動機は「社会課題に対する効用感」「社会的証明による認められ感」「パズル的な面白さ」「関心・発想の強化」の4概念が生成された。またデータへの意味付与を行なう情報化のプロセスと情報共有のコミュニケーションの2つが循環し、後者を通じて初期の参加時とは異なる動機が生じ、継続意向に繋がることが確認された。今後、このコミュニケーションを詳細に分析することでOSINT活動の持続性の検討に寄与することが期待される。