2024 年 8 巻 s2 号 p. s51-s54
本研究では、ある私立学校が構築・開設したデジタルアーカイブを、自校史教育で利活用する方法と有効性について論じる。1921年創立の自由学園は2021年、創立100周年を機に、書籍版の年史の出版と、資料公開を主な目的としたデジタルアーカイブ「自由学園100年+」(DA)の開設を行った。DAの安定的な運用のためには、利活用の促進が欠かせない。そこで2023年度より中学、高校の自校史教育の授業内でのDAの活用を模索し始めた。自組織の構成員にその内容を積極的に還元することで、運用面における安定性も維持できる。そのためにはアーキビストがDA と利用者の間に入り、適切にガイドをし、また改善していく役割を担うことが必要となる。一私立学校の事例ではあるが、学校だけにとどまらず、小組織にも応用可能な利活用の方向性であると考える。