2024 年 8 巻 s2 号 p. s59-s62
昨今、高等教育・研究機関では、デジタル・ヒューマニティーズ(DH)への注目が高まり、新しいカリキュラムも各地で開設されている。一方、中等教育では文理融合型の探究学習が重要であることが提言されているものの、その方法論に関する検討や実践の蓄積が十分に為されておらず、既存の文系/理系の枠から抜け出せないという課題がある。そこで本研究は、DHを中等教育に拡張するための学習モデルを開発することを目的とする。そのために、文系生徒の「問い」を情報学的な手法で深めることを支援するプログラムを埋め込んだ、ゼミ形式の探究学習モデルを開発する。また、開発した文理融合型の学習モデルを用いて、中等教育学校において年度を通して中⾧期的な授業実践を行う。発表では、結果として得られた生徒の学びの進展や、その分析について述べる。本研究の成果により、人文情報学が持つ可能性を中等教育に拡張するとともに、生徒たちの「問い」に即した文理融合型の探究学習を支援することに貢献する。