2025 年 9 巻 4 号 p. 146-150
本稿は、筆者が博士論文執筆のために実施した「NHKアーカイブスに現存するシリーズの番組をすべて見る」という調査方法を、J.デリダが提起したアーカイヴ論と接続しながら振り返ることを目的とする。この作業から明らかになるのは、アーカイヴが内包する権力性とそれに抗うように立ち現れる「亡霊」の存在である。取捨選択という権力性を有するアーカイヴは、常にすでにそれに抗う亡霊に付き纏われる。デリダはそうした構造を「アーカイヴの病」と呼んだが、本稿は筆者がNHKアーカイブスで迷子になった経験やアーカイヴの亡霊との邂逅を含めてその対処法を共有するものである。