2025 年 9 巻 s2 号 p. s190-s193
AIを用いた音声合成サービスが普及し、誰でも著名人などの声を再現できるようになったことで、他人の声を無断で再現し、公開するなどの問題が生じている。一部の報道や論説において、いわゆる「声の権利」が言及されるようになってきたが、法令や判例によって明示的に認められているわけではなく、権利保護の具体策についてなど、不明確なことも多い状況にある。音声合成技術の向上、普及のスピードや、実在の人物の声をデジタルアーカイブ化したサービスの企画が進められている状況を鑑みると、ハードローによる対応ではなく、ソフトローとしてよりスピード感のある形での対応が望まれるが、規範形成の根拠を判例以外に求める必要がある。本稿では、声の権利に関する規範の形成根拠の一部とすべく企画した社会調査から、定性調査に関する部分を中心に報告し、ガイドラインの策定に向けた議論の促進に努めたい。