真正性とは、記録が偽造されていないことおよび作成された記録が改ざんされていないことを示す特性である。近年、この特性はデジタルアーカイブ全般に適用されるとの見解が確認される。しかし、これは、もともと16世紀のヨーロッパで発展した文書形式学によって確立されたもので、同じ対象の集合体を扱うアーカイブズ学に取り込まれ、これらの分野が対象とするデジタル記録に適用されている。したがって、記録の真正性をデジタルアーカイブ全般に汎用させるという主張には無理がある。本報告は、デジタルアーカイブのいくつかの論考を参照しながら、記録の真正性の推定はアーカイブズ学固有の観点であることを明らかにする。また、デジタル公共文書にも言及し、その範囲としては従来のアーカイブズ学が対象としてきたものと大差がないことを示す。