接着・合着用セメントの打ち抜きせん断試験 (Punch法) 用試料厚さがせん断強さに及ぼす影響について検討した.実験には従来型グラスアイオノマーセメント(CGIC)1種類,レジン添加型グラスアイオノマーセメント(RMGIC)2種類およびセルフアドヒーシブレジンセメント(SARC)3種類を使用した.各セメントは,厚さが異なる5種類(0.15~2.00 mm)の試料を作製し,Punch法によるせん断強さの測定を行った(n=10).また,各試料についてせん断応力分布の有限要素解析を行った.RMGICおよびSARCは試料厚さの増加に伴いせん断強さが増加する傾向を示した.一方,CGICのせん断強さは試料厚さの影響を受けなかった.有限要素解析において,試料厚さはPunch法によるせん断強さ測定時の試料内のせん断応力分布に影響を与えた.試料厚さはレジン成分を含む接着・合着用セメントの測定されるせん断強さに影響を与えることが示唆された.