2024 年 43 巻 2 号 p. 71-74
はじめに
ハイブリッドレジンブロックから歯科用CAD/CAMシステムを用い製作するCAD/CAMレジンクラウンは,保険用語で通称『CAD/CAM冠』と呼ばれる.近年,CAD/CAM冠の症例が蓄積されるにつれ,短期的な臨床経過の全体像が明らかになってきた.当初は破折に対する懸念の声が大きかったCAD/CAM冠だが,実際のトラブルは破折よりも脱離の方が圧倒的に多く,クラウン装着後早期に発生する傾向が浮き彫りになった.本稿では,国内外におけるCAD/CAM冠の認識を背景にこれまでの動向を概説し,その臨床成績をわれわれの研究を紹介しながら整理するとともに,今後を展望したい.