2008 年 12 巻 3 号 p. 214-222
【目的】本研究では,離乳期以前から離乳完了までの期間に経口摂取を一切行わない動物が通常の離乳を経た場合と同等の成長発達を得られる動物実験モデルの確立を目的とし,手術侵襲の軽減を図った胃瘻造設術の考案および経管栄養ラットの発育について観察・検討を行った.
【方法】Sprague-Dawley(以下,SDと記す)ラットについて,生後7日(P7),P9,P11の時点で胃瘻造設を行った(各群N=6).胃瘻造設ラットはラット用ミルクの注入のみでP21まで飼育し,経口摂取は行わせなかった.実験期間を通してラットの体重測定し,P21においては安楽死させたラットの体長,頭部最大幅径,肝重量比(肝重量/体重)を計測した.
【結果・考察】P21の時点では体重,体長および頭部最大幅径に関しては対照群のSDラットと同等の数値を示し,有意差はみられなかった.肝重量比については,胃瘻造設術後に早期から一定のラット用ミルクを注入したP9およびP11にて胃瘻造設を行った群のラットでは対照群よりも有意に高い値を示した,
【結論】本術式および飼育方法は対照群とほぼ同等の発育が可能であり,離乳期における人工・経管栄養の研究モデルとして有用である可能性が示唆された.