2009 年 13 巻 3 号 p. 231-236
【目的】地域療育センター摂食・嚥下外来における摂食機能療法の指導効果を検討することを目的に,受診児の初診時と最終評価時における摂食機能状態について比較検討を行った.
【対象】2003 年9 月から2006 年12 月までの2 年3 か月間に地域療育センター摂食・嚥下外来を受診した小児72 名中,1 年以上継続して摂食機能療法を行った60 名,男児31 名・女児29 名(平均年齢2.6±1.4歳)を対象とした.
【方法】対象児の医療カルテおよび摂食・嚥下外来カルテから,受診回数,転帰,摂食・嚥下機能の変化を調査した.また,摂食機能変化に関連する要因の検討を行った.
【結果】受診回数は一人平均5.8 回(2~10 回)であった.転帰は継続が49 名(81.7%),指導終了が6 名(10.0%),中断が2 名(3.3%)であった.摂食・嚥下機能5 項目を初診時と最終評価時で比較した結果,「嚥下時口唇閉鎖」は変化が認められなかったが,「捕食時口唇閉鎖」「食物の前歯での咬断」「スプーンからの水分のすすり飲み」は有意に改善した.摂食機能変化に関連する項目を検討したところ,「処理時の舌運動」と初診時年齢,受診回数との間に有意な関連が認められた.
【考察】多職種が摂食・嚥下外来にかかわることの可能な当センターでは,専門性を生かした指導を行うことが可能であり,摂食機能の改善に関係していると推察された.