日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
健常若年成人における嚥下時の舌位置変化による舌骨・喉頭運動と食道入口部開大に対する影響
熊倉 真理馬場 隆行堂園 浩一朗苅安 誠
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2011 年 15 巻 2 号 p. 165-173

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抄録

【目的】舌位置の咽頭期嚥下に対する関与を知るため,健常成人で舌位置変化による舌骨・喉頭運動と食道入口部PES 開大の違いを調べた.【方法】健常男性13 名に,① いつものように,② 舌尖を上顎前歯口蓋側面に押しあて(上方固定),③ 下顎前歯舌側面に押しあて,④ どこにもあてずに,トロミ水を嚥下させた.透視側面像をもとに舌骨・喉頭変位量(直線・水平垂直距離)とPES 開大距離・持続時間を測定した.【結果】舌骨変位量は,舌位置が上方固定2 条件のほうが非上方2 条件より大きく,非上方 2 条件で10 cc のほうが3 cc より大きかった.喉頭変位量は,舌位置と摂取量にかかわらず同程度であった.PES 開大距離は,上方固定2 条件のほうが他の2 条件よりも大きく,10 cc のほうが3 cc よりも大きかった.舌の上方固定では,PES 開大距離と舌骨・喉頭の水平変位量との間に中等度の正の相関があった.【結論】舌の上方固定で舌骨変位量は大きくなり,PES 開大も促進される.

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© 2011 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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