日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
症例報告
NICU入院中から哺乳訓練で介入した両側先天性後鼻孔閉鎖症例の約1年間の経過
松岡 真由新川 泰子西村 直子尾崎 隆男足立 勇平尾 重樹
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2013 年 17 巻 1 号 p. 76-83

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抄録

【緒言】先天性後鼻孔閉鎖症(Congenital Choanal Atresia, 以下CCA)は稀な先天性疾患であり,両側性の頻度はさらに少ない.本症例に対して,出生直後から発生する哺乳障害に焦点を当てた哺乳訓練・嚥下訓練経過の詳細な報告は皆無である.今回著者らが経験した本症例について,新生児集中治療室(Neonatal Intensive Care Unit, 以下NICU)入院中より約1 年間の,哺乳訓練開始から食事摂取に至るまでの経過を報告する.

【症例】生後3 カ月の女児で,両側完全型CCA(骨性閉鎖),左狭小眼裂,左無眼球,左側不完全口唇裂があった.生後3 カ月までは不定期的に,SpO2 が30~80% 台に落ち込むことがあった.頭部CT 所見では,前頭蓋骨の骨欠損があり,頭蓋内と鼻腔内容が交通していた.

【経過】生後3 カ月時には,哺乳時に一時的に無呼吸状態となるための窒息の危険性,吸綴・嚥下・呼吸の協調性にムラがありSpO2 の低下,生後本格的な経口哺乳未実施による経験不足と誤嚥の危険性があった.口呼吸が確立されてからは順調に進み,生後6 カ月で哺乳瓶からのミルク摂取,生後7 カ月からは1 日1 回の離乳食摂取が可能になった.1 歳1 カ月には,1 日3 回の正常発達児と同様の食事摂取が可能となった.

【考察】出生後数週の間,新生児は鼻呼吸で生活し口呼吸を習得するのに数週間を要するため,この時期に鼻呼吸ができないと致命的である.よって,本症例のように,出生時より呼吸困難やチアノーゼが出現して生命の危険がある場合,吸綴・嚥下・呼吸の協調性,窒息の危険性,SpO2低下を評価しながら哺乳・嚥下訓練を進めることが重要であった.また,NICU 入院中から介入が必要な哺乳・嚥下障害の場合,注意すべき徴候や評価項目が多岐にわたることから,多職種間連携を進めながらチームで行う必要性が示唆された.

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© 2013 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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