日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
とろみ調整食品の添加による基本味覚閾値および味覚強度の変化
長井 勇太山村 千絵
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2014 年 18 巻 2 号 p. 131-140

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抄録

【目的】 本研究は,とろみ調整食品による粘度付加を行った溶液で,甘味,塩味,酸味の味覚閾値や味覚強度がどう変化するかについて調べることを目的に行った.

【対象と方法】 健常成人16 名を被験者とした.

ショ糖(甘味),塩化ナトリウム(塩味),酒石酸(酸味)を蒸留水に溶かし,濃度の異なる味溶液を調製した.トロミパワースマイルを用い,各味質において,とろみ無添加溶液,1%とろみ溶液,2%とろみ溶液を調製した.

認知閾値の測定時は,3 味質ともに6 段階の濃度の溶液を設定し,明らかに味質が感知できる最低濃度を認知閾値とした.味覚強度の測定時は,3 味質ともに閾値上濃度に設定し,とろみ無添加溶液の味覚強度を基準として,1% とろみ溶液と2% とろみ溶液の味質をどの程度の強さで感じたかを,-3 から+3 までの7 段階で評価させた.

【結果】 1.認知閾値:甘味では,とろみ無添加溶液と比べ,2% とろみ溶液は閾値が有意に大きかった(p<0.05).塩味では,各溶液間で有意差はなかった.酸味では,とろみ無添加溶液と比べ,1% とろみ溶液(p<0.001),2% とろみ溶液(p<0.001)は,閾値が有意に大きかった.また,1% とろみ溶液と比べ,2% とろみ溶液は閾値が有意に大きかった(p<0.05).

2.味覚強度:甘味では,2% とろみ溶液は,他の溶液よりも有意に甘味が弱いと評価された(p<0.01).塩味では,各溶液ともに同程度の塩味であると評価された.酸味では,とろみ溶液はとろみ無添加溶液よりも有意に酸味が弱く(p<0.001),かつ,2% とろみ溶液のほうが1% とろみ溶液よりも有意に酸味が弱い(p<0.001)と評価された.

【結論】 飲食物にとろみを付けると,粘度により味の感じ方が弱くなるが,とろみ調整食品に含まれている成分によって,異なる味の変化を示す場合があることが示唆された.

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© 2014 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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