2017 年 21 巻 3 号 p. 129-135
【目的】日本摂食嚥下リハビリテーション学会医療検討委員会嚥下調整食特別委員会から示されていた嚥下調整食学会基準案2012 の3 段階のとろみにおいて,各段階の粘度範囲が適切であるか否かを検討することを目的とした.
【方法】摂食・嚥下障害看護認定看護師151 名を対象に,粘度の異なる12 種類のとろみ液を用いて官能評価を行った.試料が,「薄いとろみ以下」「薄いとろみ」「中間のとろみ」「濃いとろみ」「濃いとろみ以上」のいずれに該当するかを評価させ,得られた結果を粘度測定結果と比較し,嚥下調整食学会基準案2012の3 段階のとろみの粘度範囲の妥当性を検討した.
【結果および考察】薄いとろみの下限値(50 mPa·s)は妥当,薄いとろみと中間のとろみの境界値(100 mPa·s)はおおむね妥当と思われるがさらなる検討が必要,中間のとろみと濃いとろみの境界値(400 mPa·s),および濃いとろみの上限値(600 mPa·s)は高すぎるため引き下げの検討が必要,であることが示唆された.先行研究および本研究結果をもとに,学会基準案2012 のとろみの3 段階から,学会分類2013 のとろみの基準へ粘度範囲が変更された.