日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
短報
Down 症候群の舌突出嚥下と粗大運動・認知・言語発達の関連:予備的研究
中村 達也鮎澤 浩一小沢 浩
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2017 年 21 巻 3 号 p. 200-208

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抄録

【目的】Down症(以下,DS)児の舌突出嚥下と粗大運動,認知・言語発達との関連の詳細は不明であり,本研究ではこれらの関連について明らかにすることを目的とした.

【対象と方法】1 歳から9 歳までのDS 児38 名を対象に離乳初期食および離乳中期食の摂取時の様子を動画記録し,舌突出嚥下の回数と定型発達児の離乳中期以降にみられる口腔内での食物処理時の舌の上下運動の有無を評価した.粗大運動発達の評価にはGMFM-66,認知・言語発達の評価には新版K 式発達検査2001 を用いた.得られた結果より,舌突出嚥下の回数との関連を検討した.

【結果および考察】離乳初期食・中期食摂取時の舌突出嚥下の回数と月齢,Gross Motor Function Measure (以下,GMFM)-66 合計点,新版K 式発達検査2001 の発達月齢に相関がみられた.舌突出嚥下低頻度群は,高頻度群に比してGMFM-66合計点が高く,特に四つ這いやベンチ上での座位が可能な児が多かった.さらに,舌突出嚥下低頻度群の多くは,処理時の舌の上下運動を獲得していた.一方で,舌突出嚥下低頻度群と高頻度群で,新版K 式発達検査2001 の発達水準の群間人数割合に差は認めなかった.

【結論】DS 児の舌突出嚥下については,粗大運動発達との関連が示唆された.

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© 2017 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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