日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
原著
α–アミラーゼ添加がパンの物理的特性と咀嚼性に及ぼす影響
高橋 智子増田 邦子勝瀬 梨沙吉田 美咲大越 ひろ
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2019 年 23 巻 3 号 p. 171-179

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抄録

【目的】小麦でんぷんの糊化を促進し,さらに糊化でんぷんの老化を抑制する目的で使用されているでんぷん分解酵素のα–アミラーゼ添加パン,およびα–アミラーゼを添加していない無添加パンの糊化度,および物理的特性を評価し比較検討したうえで,両者の咀嚼性の違いを咀嚼時筋電位測定,および咀嚼回数の異なるパン食塊の性状の変化より検討した.

【方法】α–アミラーゼ添加パン,および無添加パンの特性として,パンローフ重量,外観としてのパンローフの高さ,比容積,クラム部分の含有水分率,テクスチャー特性の測定を行った.小麦でんぷんの糊化の違いを検討する糊化度の測定には,BAP 法を用いた.咀嚼しやすさの検討は咀嚼筋電位測定により行った.また,咀嚼による食塊性状の変化をみるために,規定咀嚼回数(5,10,15,20,25 回)を咀嚼したパン食塊について,テクスチャー特性,および含有水分率の測定を行った.

【結果】α–アミラーゼ添加パンと無添加パンの外観,および比容積に差は認められなかったが,α–アミラーゼ添加パンの硬さは無添加パンに比べ軟らかくなり,凝集性が低下することがわかった.糊化度は,α–アミラーゼ添加パンが無添加パンに比べ,高い値を示した.また,咀嚼時筋電位測定の結果より,軟らかいα―アミラーゼ添加パンは無添加パンに比べ,咀嚼1 回に要する咬筋活動量が少なく,咀嚼終了までの咀嚼回数,咀嚼時間も短くなることが示された.パン食塊の性状について検討した結果,咀嚼回数5回の食塊の硬さはパン試料よりも硬くなることが示された.また,咀嚼回数5 回の食塊の硬さは,α―アミラーゼ添加パンは無添加パンに比べ,有意に軟らかいことが認められたが,咀嚼10 回以上で試料間に有意差は認められなかった.咀嚼回数の増加に従い,パン食塊の含有水分率も増加傾向を示した.

【結論】α–アミラーゼを添加することで,パンに含まれる糊化でんぷんが増加することにより軟らかく,さらに咀嚼しやすいパンの調製が可能であることが示唆された.

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© 2019 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
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