日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌
Online ISSN : 2434-2254
Print ISSN : 1343-8441
短報
グループホームの食支援に対する介護職員の思いと行動の変化
―ミューチュアル・アクションリサーチの手法を用いた取り組み―
端 千づる村田 美穂堀 拓也畑 菜都希岡本 智子青木 未来四谷 淳子
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 27 巻 1 号 p. 61-68

詳細
抄録

 【目的】本研究は,A 県内の1 つのグループホームで研究者と現場の実践者が協働し,良い食支援の実現に取り組んだ実践研究である.その取り組みにおいて,実践者と研究者からなるチーム全体に生じた思いと行動の変化を明らかにすることが研究目的である.

 【方法】ミューチュアル・アクションリサーチの手法を用い,グループホームの介護職員3 名と研究者で研究チームを結成し,「施設でのより良い食支援」を主題に意見交換と対話を重ねた.より良い食支援を目指す“ 願い” を明らかにし,“ 願い” に沿った食支援を実現するために,実現可能な行動を計画し実践した.研究参加時の半構成的面接と3 回の話し合いの逐語録,「振り返り記録」,参与観察より得られた情報を分析対象とし,介護職員の食支援に対する思いと行動の変化に注目して記述し,分析した.

 【結果】研究参加者は“ 願い” を実現する過程で,研究者と研究協力者の思いや行動の変化は,「研究者と研究協力者が食事に対する個々の考えや思いについて話し合い合意する」「“ 願い” を明らかにすることによって共通認識をもつ」「自ら考え実践に向けて動く」という3 つの局面を経て変化していた.

 【結論】グループホームの介護職員と共に食支援の課題の解決に向けた取り組みを行う中で,研究協力者の思いと行動の変化が明らかになった.ミューチュアル・アクションリサーチを用いた取り組みは,現場の課題を解決し,変化をもたらす可能性がある.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本摂食嚥下リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top