本研究では,3種のゲル化剤を用いて調製した軟らかなお茶ゼリーについて,飲み込み特性の検討を行った.対象は,デイケアを利用する高齢者および若年者とし,順位法による官能評価を行った.若年者については高齢者の摂食を模した喫食方法を考案し,高齢者の評価と比較・検討を行った.その結果,以下の知見を得た.
1.3種のゲル化剤を用い,硬さを等しく調製したお茶ゼリーの物性を比較したところ,カラギーナン製剤ゼリーは,寒天ゼリーと同程度の低い付着性,ゼラチンゼリーと同程度の高い凝集性を併せ持つゼリ一であることが示された.
2.カラギーナン製剤ゼリーは,若年者,高齢者のいずれにおいても,寒天ゼリーよりもまとまりやすくゼラチンゼリーよりも飲み込みやすいという評価を受け,介護食用のゲル化剤として望ましい特性を備えていることが示唆された.
3.若年者が高齢者を想定し,口中で10秒間保持してから評価を行った場合,高齢者(デイケア利用者)と類似した傾向が得られた.