日本透析医学会雑誌
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症例報告
尿素回路異常症による高アンモニア血症に対し急性血液浄化が有効であった2症例
青木 明日香菊地 勘永井 佳子岩崎 富人塚田 三佐雄池辺 宗三人三和 奈穂子木全 直樹秋葉 隆新田 孝作
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2007 年 40 巻 10 号 p. 859-864

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抄録

症例1は29歳の女性. 1歳5か月にオルニチントランスカルバミラーゼ欠損症と診断された. 以後, 感染や疲労・ストレスで高アンモニア血症 (100~300μg/dL) をきたし入退院を繰り返していた. 平成13年3月23日, 嘔気があり当院外来を受診. アンモニア345μg/dLと上昇を認めL-アルギニン20g/日の点滴を施行した. しかし, 意識障害の改善なくアンモニア536μg/dLと上昇を認めたため血液濾過透析 (HDF) を施行した. 2日間のHDF施行でアンモニア72μg/dLと低下, 意識障害の改善を認めた. その後, 安息香酸ナトリウムの内服でアンモニアの上昇, 意識障害の出現なく退院となった. 症例2は筋緊張性ジストロフィーの28歳, 女性. 歩行困難, 脱力, 意識障害で入院となった. 入院翌日のアンモニアは717μg/dLと上昇し昏睡状態, 呼吸不全となった. 肝不全の所見なく原因不明の高アンモニア血症に対しHDFを施行した. 3日間のHDF施行でアンモニア40μg/dLに低下し意識状態の改善を認めた. 入院後の血漿アミノ酸分析により高シトルリン血症を認め, 成人発症2型シトルリン血症と診断した. L-アルギニンと安息香酸ナトリウムの投与を開始し, アンモニアの上昇, 意識障害の出現なく退院となった. 尿素サイクル異常症による昏睡を伴う高アンモニア血症にはL-アルギニンの経静脈投与が施行されている. 本症例のように急性期にL-アルギニンの投与が無効な症例, 昏睡を伴う原因不明の高アンモニア血症の症例には急性血液浄化の施行が有効と考えられた.

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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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