抄録
高齢者に対するPD療法に関しては, その利点が推奨されているものの, 実際の治療成績の報告は限られ不明な点が多い. 本調査は, 多施設患者を対象として, 患者生存率, 治療継続率を検討した世界で最初の報告である. 高齢者PD患者の基本的問題点として, 身体 (医学), 精神・心理, 社会的な諸問題が存在し, 検討ではこれらを包括的に捉えることが必要である. そこで, 本調査では, 身体・医学的要因に加え, 精神・心理的要因 (治療に対する患者の意思), 社会的要因 (バッグ交換実施者) を解析項目とした. 本研究は, ゼニーレPD研究会に参画している全国37施設において, 2000年4月から2004年3月末までの4年間に新規PD導入された65歳以上の全患者, 410例を対象とした. 平均年齢75.7歳の410例を4年間観察し, 以下の諸点が明らかにされた. 50%治療継続率は30.3月, 50%生存率は48か月を超えていた. 総死亡に対する独立寄与因子として, 「PD選択の希望者」, 「導入時年齢」, 「合併症スコア」, 「バッグ交換の実施者」, 「Body Mass Index」, 「CRP」が同定された. 高齢PD患者においては, 生命予後, 治療継続に対して, 合併症などの身体条件以外に, 本人の希望や治療への能動的な関与が強い影響因子であることが示された.