日本透析医学会雑誌
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原著
長期透析患者における頸髄硬膜周囲石灰化症
―手術症例4例を含む7例の検討―
大久保 泰宏白石 建小村 賢祥福田 実山中 真理子猪瀬 和人本多 正徳
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2007 年 40 巻 2 号 p. 155-160

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抄録
長期透析患者にさまざまな骨関節合併症が生じてくることは広く認識されているが, 頸髄硬膜周囲への異所性石灰化による頸髄症については知られていなかった. われわれは7例の頸髄硬膜石灰化症の患者を経験し, うち4例に手術治療を行った. 7症例の臨床像について検討したところ, 全例が20年以上の透析歴を有しており, Ca×P積が高い傾向にあった. 診断には単純頸椎CTが最も有用であり, 頸椎単純写真・MRI・ミエログラフィーでは病変の描出は困難であった. 本症は靱帯の肥厚や骨化などによる脊柱管狭窄症と同様の臨床像を呈するが, 本症での脊髄を圧迫する原因は硬膜を被うように形成された石灰化線維膜による圧迫である点が大きく異なっていた. 手術に際しても単に椎弓を切除するのみならず, 脊髄硬膜周囲の石灰化膜を剥離・切除してはじめて肉眼的脊髄所見の改善が得られた. 症状出現後手術に至るまでの期間が比較的短かった2例は著明な症状の改善をみたが, 長期間経過していた2例ではほとんど改善がみられなかった. 以上から, 長期透析患者の重要な合併症の一つとして, 頸髄硬膜周囲石灰化症を新たに認識する必要があると考えられた. 頸髄症を呈する患者の診断に際しては, 本症を念頭におき, MRIだけではなく単純頸椎CTを施行すべきと思われた. さらに, 本症と診断された場合できるだけ早期に適切な手術療法を検討するべきであると考えられた.
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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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