日本透析医学会雑誌
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症例報告
帯状疱疹にバラシクロビルを血液透析患者推奨量で使用し神経症状を呈した1例
川本 進也陳 莉薇祝田 靖古川 智洋
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2007 年 40 巻 5 号 p. 429-433

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抄録

症例 : 82歳, 女性. 現病歴 : 1998年に当院で血液透析を導入され他院にて通院透析中であった. 2006年4月17日より右眼瞼に発疹, 疼痛が出現し近医皮膚科で帯状疱疹と診断. 透析患者であるためアシクロビル軟膏で対処されるも疼痛我慢できず21日再診. 透析担当医と相談の上バラシクロビル1,000mg毎透析終了時で処方され内服. 翌日午前より歩行障害, 呂律障害, せん妄を認め当院救急外来受診. 血圧168/62mmHg, 体重30kg, 意識障害, せん妄を認めた. 頭部CT・MRI, 髄液検査, SPECT, 脳波などで脳血管障害, ヘルペス脳炎などを鑑別, 除外した上で, アシクロビル脳症と診断. 直ちにバラシクロビルを中止し血液透析を施行. 計4回の透析で症状は完全に消失し退院した. 結語 : バラシクロビルは透析患者推奨投与量においても小柄な高齢患者では神経症状を呈しうる. 体格, 年齢も考慮した上での薬物投与が必要と考えられた. 日本人透析患者への推奨投与量はこれまでの添付文書記載量よりさらに減量した量 (250mg/日) が妥当と考えられた.

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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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