日本透析医学会雑誌
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40 巻 , 5 号
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第51回日本透析医学会ワークショップより
原著
  • 二ノ宮 日出世, 高田 三千尋, 豊田 貫雄, 末友 祥正, 向井 隆一郎
    2007 年 40 巻 5 号 p. 409-415
    発行日: 2007/05/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    人体の体液量は各種の物質を用いて測定する方法がすでに確立しているが, これらの方法を透析患者に利用するのは不便である. また, ウレアスペースの測定については山下らの報告があるが, われわれは血液透析患者のウレアスペースを, 血液透析中のBUN濃度とウレアクリアランスのみから求められないかと考え研究を行った. 血液透析をすることにより, ウレアスペースは動力学的に2つのコンパートメントに分かれるが, 2つのコンパートメントが動力学的に等しくなるとき, 静力学的には1コンパートメントと考えられるので, この点をみつければ真のウレアスペースを求めることができる. この考え方で, 数学的に2つのコンパートメントが動力学的に等しくなる点を理論的に求めた. そして, 実際の計算では, BUN濃度の測定誤差対策として修正移動平均 (RMA) をとりBUN濃度の近似関数に4次式を用いてウレアスペースを求めた. こうして得られた結果が合理的なものであるかどうかを検証するためNAAP法の正常値と仲里, 小川らの透析後の透析患者に重水を投与して得られた総体液量との比較をしてみたところほぼ同様の値を示した. また, 同一被検者について2回以上の検査を行った症例では再現性のある値を得ることができた. われわれは, 独自の考えに基づいて, 透析患者のウレアスペースを求める方法を作成した. この方法は患者負担が少なく, また再現性にも優れ, 精度も高く臨床応用可能な全体液量の計算方法と考えられる.
  • 村上 真基, 武舎 孝之, 栗田 直美, 塚田 修
    2007 年 40 巻 5 号 p. 417-422
    発行日: 2007/05/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    背景 : 糖尿病合併症予防の治療指標は糖尿病学会ガイドラインよりHbA1c : 6.5%未満とされているが, 血液透析症例では赤血球寿命短縮などのためHbA1cは指標となりづらく, グリコアルブミン (GA) が赤血球寿命やエリスロポエチン (rHuEpo) 投与の影響を受けず良い指標になると報告されている. われわれはrHuEpo投与量補正を行ったHbA1c目標値は透析症例における長期予後予測の指標となりうるかどうかを検討した. 方法 : 糖尿病血液透析症例51例に対し1か月ごとに延べ290回HbA1c, GAを測定した. HbA1c, GA, rHuEpo投与量の相関より, rHuEpo投与量補正を行ったHbA1c目標値を設定した. 2000年1月以降の糖尿病血液透析症例96例のHbA1c測定値とrHuEpo補正HbA1c目標値について, 治療指標を基準とした生存解析を行って両者を比較した. 結果 : HbA1c : 6.5%を基準とすると, 回帰分析によりrHuEpo非投与症例のGAは22.8%が基準値となった. この値に基づくとrHuEpo投与量3,000 [IU/week] 以下ではHbA1cは5.7%, 6,000以下で5.5%, 9,000以下で5.2%が治療の目標値となった. いずれの群でもp<0.0001であった. HbA1c測定値における生存解析では生存率に有意差を認めなかったが, 補正後のHbA1c目標値未満にとどまる症例では有意に生存率が良好であった. 結論 : 糖尿病血液透析症例であっても, rHuEpoによる補正を加えれば, HbA1cは長期予後を予測する鋭敏な治療目標として使用可能で, 臨床現場でも扱いやすい指標になると考えられた.
透析技術
  • 成瀬 正浩, 中山 裕史, 阪口 峻一, 冨田 公夫
    2007 年 40 巻 5 号 p. 423-427
    発行日: 2007/05/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    血管撮影装置に頼ることなく, 超音波診断装置 (エコー) ガイド下でシャント経皮血管拡張術 (PTA under ultrasound guidance : PTAUS) ができるとすれば, その利点は多い. たとえば, 患者のみならず医療従事者への放射線被曝という問題を考慮する必要がない点や, 血管撮影装置のない施設においてもPTAが施行できる点などがあげられる. 今までにもPTAUSを行ったとする報告はいくつか散見されるが, いずれの報告においても, 目的とする狭窄部位への正確なバルーン部誘導の困難さが, その欠点として論じられてきた. 今回われわれは, PTAUSを行うにあたり, 術前の正確なシャント肢へのマーキングに加え, カテーテルと等長の滅菌済みチューブをバルーンカテーテル起始部に装着する簡便な方法 (シャドウカテーテル法) を用いることで, 容易かつ正確にバルーン先端を目的部位へ誘導する技術を考案したので報告する.
症例報告
  • 川本 進也, 陳 莉薇, 祝田 靖, 古川 智洋
    2007 年 40 巻 5 号 p. 429-433
    発行日: 2007/05/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例 : 82歳, 女性. 現病歴 : 1998年に当院で血液透析を導入され他院にて通院透析中であった. 2006年4月17日より右眼瞼に発疹, 疼痛が出現し近医皮膚科で帯状疱疹と診断. 透析患者であるためアシクロビル軟膏で対処されるも疼痛我慢できず21日再診. 透析担当医と相談の上バラシクロビル1,000mg毎透析終了時で処方され内服. 翌日午前より歩行障害, 呂律障害, せん妄を認め当院救急外来受診. 血圧168/62mmHg, 体重30kg, 意識障害, せん妄を認めた. 頭部CT・MRI, 髄液検査, SPECT, 脳波などで脳血管障害, ヘルペス脳炎などを鑑別, 除外した上で, アシクロビル脳症と診断. 直ちにバラシクロビルを中止し血液透析を施行. 計4回の透析で症状は完全に消失し退院した. 結語 : バラシクロビルは透析患者推奨投与量においても小柄な高齢患者では神経症状を呈しうる. 体格, 年齢も考慮した上での薬物投与が必要と考えられた. 日本人透析患者への推奨投与量はこれまでの添付文書記載量よりさらに減量した量 (250mg/日) が妥当と考えられた.
  • 小河 秀郎, 近藤 基之, 平田 邦夫, 金崎 めぐみ, 山田 衆, 坂本 力
    2007 年 40 巻 5 号 p. 435-440
    発行日: 2007/05/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の女性. 多発性嚢胞腎のため, 6年前より当院にて維持透析中であった. 2003年8月初旬, 38℃台の発熱, 全身倦怠感, 軽度の右上腹部痛が出現したため, 精査加療目的にて入院. 症状, 血液検査結果より肝胆道系感染症を疑い, 腹部CT, 腹部MRI検査を施行. 腹部CT画像, T1強調画像, T2強調画像ではいずれも多発嚢胞群の中での病巣診断は困難であったが, 拡散強調画像では一部の肝嚢胞内に明らかな高信号域を認めた. sulbactam sodium/cefoperazone sodium (SBT/CPZ) を1g/日投与にて症状は軽快し炎症所見も消退した. これと平行して拡散強調画像の高信号域も消退を認めた. 2003年10月にも同様な症状が出現し, 拡散強調画像にて前回とは異なる肝嚢胞内に高信号域を認め, これも臨床経過とともに消退した. 一般に多発性嚢胞腎における肝腎嚢胞内感染巣の画像検査での同定に関して, 腹部の拡散強調MRI画像が有用であることが示唆され貴重な症例と考えられた.
  • 岩渕 仁, 中原 徳弥, 岡本 真智子, 浅野 学, 小口 健一, 中野 栄治
    2007 年 40 巻 5 号 p. 441-444
    発行日: 2007/05/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    72歳, 男性. 1995年より維持透析中. 1999年2月左シャント肢に腫脹出現. 左鎖骨下静脈狭窄症の診断にて, 左シャントを閉鎖し右内シャント作製した. 2005年11月より右上肢に腫脹出現し, 2006年1月当院に紹介された. シャント造影の結果, 右シャント静脈本幹の狭窄および右鎖骨下静脈閉塞と診断した. 右鎖骨下静脈閉塞に対し右シャントおよび右大腿静脈より経皮的血管形成術 (PTA) を試みたが, いずれの手段を用いても病変部にカテーテルを誘導することができなかった. そこで二期的に右鎖骨下静脈に対しアプローチするため先に右上腕の拡張した深部静脈の表在化を行い, これを足がかりとしてPTAを遂行し, 閉塞解除に成功した.
  • 上田 美緒, 小島 智亜里, 杉浦 秀和, 大貫 隆子, 田中 好子, 藤生 亜由子, 鈴木 基文, 三宮 彰仁, 新田 孝作, 秋葉 隆
    2007 年 40 巻 5 号 p. 445-450
    発行日: 2007/05/28
    公開日: 2008/11/07
    ジャーナル フリー
    症例は76歳, 女性. 1997年11月糖尿病性腎症による慢性腎不全にて血液透析導入, 腎癌にて右腎摘出. 2000年胃癌にて胃亜全摘の既往あり. 2005年5月頃より目のかすみ, 振戦, 腰痛などの症状出現. また, 透析後半に一過性の意識障害が出現したが, 頭部CTでは異常所見なくTIA (transient ischemic attacks) を疑われていた. 同年6月2日再び意識障害Japan Coma Scale (JCS) I-1~2が出現し精査目的にて入院. 入院後, 透析中にJCS IIIまで意識レベル低下. アンモニア臭, 羽ばたき振戦がみられたため分子鎖アミノ酸製剤 (アミノレバン®) を点滴静注したところ意識レベル改善. 血清アンモニア値は286μg/dLと上昇していた. 血液検査では肝酵素異常を認めなかった. 腹部CTにて胃静脈と左腎静脈のシャントを認め, chronic portal-systemic shunt encephalopathy (CPSE) による高アンモニア血症と診断された. 6月24日バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術 (B-RTO : balloon occluded retrograde transvenous obliteration) 施行. アンモニア値130μg/dL台まで低下を認めたが, 胃腎シャントの遮断が不完全であるため引き続き肝不全治療薬, 分枝鎖アミノ酸製剤, ラクツロース経口投与にて経過観察となった. 約2年経過しているが, 保存的治療のみで再発は認めていない.
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