日本透析医学会雑誌
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症例報告
Bartter症候群の小児慢性腎不全患児に腎移植を施行した1例
関根 芳岳羽鳥 基明武井 智幸柏木 文蔵曲 友弘福間 裕二西井 昌弘濱野 達也山本 巧柴田 康博伊藤 一人黒川 公平町田 昌巳林 雅道鈴木 和浩
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2007 年 40 巻 7 号 p. 623-627

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抄録
Bartter症候群では一般的に腎不全に進行することは少ない. 今回われわれは腎不全を呈した小児Bartter症候群type IV症例に対して生体腎移植を施行した1例を経験したので報告する. 患者は15歳男児で, 新生児期より哺乳不良, 体重増加不良であり, 10か月時多飲多尿が出現した. 1歳9か月時の精査にて血漿レニン活性の高値, 低カリウム血症, 難聴などを認めたことからBartter症候群type IVと診断されインドメタシン, スピロノラクトン, 塩化カリウムの投与が開始された. 腎機能に関しては, 乳児期より低下していたが思春期になりさらに低下し, 生体腎移植目的に2004年4月に当科紹介受診となった. 2004年11月中旬に移植予定であったが, 10月中旬にBUN 156mg/dL, Cr 17.2mg/dLと腎機能の悪化を認めたため, 腎移植前のコンディショニングとして血液透析を開始し, 11月中旬に40歳の母親をドナーとして生体腎移植を施行した. Bartter症候群の腎移植症例として, 術前にRAA系の亢進は認めていなかったがマレイン酸エナラプリルとロサルタンカリウムを移植前より投与した. 腎移植後, 腎機能は改善しRAA系の亢進も認めていない. Bartter症候群では一般的に腎不全に進行することはまれであり, 腎不全の因子としてはBartter症候群の病態だけでなく, Bartter症候群の治療に用いられるNSAIDsもその因子のうちの一つである. またこれまでの報告を含め, 腎不全を呈したBartter症候群に対しては, 腎移植後に腎不全だけでなくBartter症候群による内分泌学的異常も改善し, 腎移植が有用な治療であると考えられた.
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© 2007 一般社団法人 日本透析医学会
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