日本透析医学会雑誌
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症例報告
多発性脳梗塞から感染性心内膜炎を診断し剖検にて疣腫による塞栓症を証明し得た血液透析患者の1例
関根 一真川本 進也染矢 剛祝田 靖
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2011 年 45 巻 1 号 p. 73-78

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抄録
症例は65歳,男性.平成9年より糖尿病性腎症由来の慢性腎不全にて血液透析導入.平成19年より糖尿病性足壊疽にて加療されており,創部からはMRSAが検出されていた.平成22年4月12日から右下肢の蜂窩織炎の診断で皮膚科に入院中,翌13日夜間に突然の意識障害が出現し,精査加療目的にて内科へ転科.頭部MRI拡散強調画像にて新鮮な多発する梗塞巣を認めた.心臓超音波検査を施行したところ,僧帽弁の後尖に約2cmの疣腫を認めた.また血液培養検査にてグラム陽性球菌が4回にわたり検出されたため感染性心内膜炎と診断した.16日にその菌がMRSAと判明したが,すでに全身状態はより増悪しており抗MRSA薬を投与する間もなく,同日夕に死亡.剖検では僧帽弁に疣腫を認め,脳・肝臓・脾臓などに多発塞栓巣を認めた.疣腫および塞栓内いずれからもグラム陽性菌を認めた.その一部を培養しMRSAと同定した.本例は疣腫から多発性脳梗塞をはじめとする全身塞栓症をひき起こしたことを証明し得た貴重な1例と考えられた.
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© 2011 一般社団法人 日本透析医学会
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