日本透析医学会雑誌
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症例報告
Wernicke脳症を発症した腹膜透析患者の1例
吉川 美喜子原田 幸児住田 鋼一山口 通雅赤井 靖宏
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2012 年 45 巻 7 号 p. 581-585

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抄録
症例は73歳,男性.71歳から糖尿病性腎症による慢性腎臓病のため血液透析が導入されたが,自己血管での動静脈瘻の作製が不可能であったため,人工血管による内シャントが作製された.73歳時にMRSAによる人工血管感染と化膿性椎間板炎のため当院に入院し,抗生剤による治療と人工血管抜去術が施行された.動静脈瘻の再形成が困難と判断されたため,血液透析から腹膜透析に変更された.感染のコントロールは良好であったが,食欲不振と偏食のため栄養状態は不良であった.第86病日の朝から持続する全身性ミオクローヌス発作が出現し,夜間には不規則かつ粗大なバリスム様の不随意運動が出現した.低血糖,電解質異常,アルベカシン中毒,頭蓋内疾患などが疑われ,血液検査や頭部CT撮影が行われたが,明らかな原因となる所見は認められなかった.栄養状態が悪く,偏食であったことからビタミンB1欠乏症が疑われた.ビタミンB配合剤の静脈内投与が施行されたところ,不随意運動は速やかに消失した.後日,ビタミンB1値が10ng/mLと低値であることが判明し,Werniche脳症と診断された.
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© 2012 一般社団法人 日本透析医学会
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