日本透析医学会雑誌
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原著
HIV感染患者における透析医療の推進に関する調査
秋葉 隆日ノ下 文彦
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2013 年 46 巻 1 号 p. 111-118

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抄録

エイズ感染患者の透析医療の確保に関して透析施設のHIV患者受け入れの現状を把握し今後の対策の資料とするため調査を行った.全国の透析施設3,802施設にアンケートを発送,1,552通(回収率40.82%)を得た.透析を必要とするHIV陽性者の透析受け入れの経験のある施設は94施設(6.2%),経験のない施設1,434施設(93.8%)で,平成23年11月現在のHIV患者透析実施患者数は89名(60施設,各施設1~7名,1.48±1.12名)だった.この施設は今後も「受け入れる」が69施設,「難しい」23施設で74.2%の施設が今後も受け入れを継続するとの意向を示された.受け入れの経験がない医療機関の今後の方針は「紹介があれば受け入れる方針である」227施設(15.7%),「今後,受け入れを検討する」445施設(30.7%),「受け入れることは難しい」776施設(53.6%)と約半数が今後の受け入れの可能性を表明した.しかしながら,「受け入れがたい理由」として,「HIV陽性者専用のベッドが確保できない.」「HIV陽性者への対応手順が整理されていない.」「透析中に急変した際のバックアップ体制が得られるのか心配」などの懸念が高頻度に示され,公的な援助なしに民間施設がHIV患者を受け入れるには多くの難関があることが明らかになった.

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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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