日本透析医学会雑誌
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症例報告
後腹膜鏡下腎摘除を行い腹膜透析中止後腹腔洗浄を継続した1例
小林 皇宮本 兼玄笹村 啓人田中 俊明山本 準也石川 洋三山田 洋介山村 剛河田 哲也
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2013 年 46 巻 10 号 p. 1015-1019

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抄録
症例は64歳,男性.腎硬化症による慢性腎不全により2008年10月に腹膜透析導入となった.2010年8月,2011年6月に腹膜炎による入院加療歴があり,同年8月に3回目の腹膜炎を発症し入院となった.原因不明の腹膜炎を繰り返しているため,同年9月に腹膜透析を中止し血液透析へ移行した.その後は被嚢性腹膜硬化症予防目的で1日1回,1年間の腹腔洗浄継続を予定していたが,入院時のスクリーニングCTにて左腎中部外側に造影早期相で強い増強効果を示す12 mm大の充実性腫瘍を認め,腎細胞癌が疑われ泌尿器科紹介となった.同年11月後腹膜鏡下腎摘除術を施行,病理結果は腎細胞癌(pT1aN0M0)であった.術後合併症は認められず,術後第6病日より腹腔洗浄を再開した.退院後の現在も腹膜炎の再発はなく,血液透析および腹腔洗浄を継続中である.腹腔洗浄の継続が必要な患者に認められた腎細胞癌に対して後腹膜的アプローチによる鏡視下手術はよい適応であると考えられた.
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© 2013 一般社団法人 日本透析医学会
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